以前にカラヴァッジョの

「洗礼者ヨハネの斬首」をブログに

載せましたが今回は続きです。





斬り取られたヨハネの首を

お盆に乗せたサロメの姿が暗闇に

浮かび上がるこの作品。






「洗礼者ヨハネの斬首」のときも

そうでしたが

この絵のサロメも

ファム・ファタール的な悪女ではない

普通の女性で

年もそれほど若くありません。





ヨハネの首を手にして喜ぶでもなく

それどころか目を背けています。





他の画家たちは悪女サロメが

嬉々としてヨハネの首を手にする絵を

描いていますが

カラヴァッジョは冷静というのか

冷めてるというのか

ヨハネの首は褒美として

王からもらったものですが

全くサロメは嬉しそうではありません。





むしろ普通の女性は嬉しくないのが

当たり前ですが

サロメは狂気の悪女ではなく

聖書の通りに

母親に言われてヨハネの首を所望した

普通の女性として描かれています。





ただ普通の女性にしては

あまりに冷静で

落ち着き払っているところが

ちょっと違和感あるといえば

ありますね。





人の首を持っているのに

あまりに冷静で静かな絵ですが

相変わらず暗闇の中に浮かび上がる

人物たちの光と影のコントラストが効いて

同じテーマを描く画家と比べて

一段上って感じです。





実はヨハネの首を持つサロメの絵は

たくさんの画家が描いていますが

意外にコミカルというか

リアリティーのない絵が多くて

私としてはこういうのは響きません。














いずれもヨハネの首をお盆に乗せて

微笑み満足気な様子ですが…





私が写実的な絵が好きというのも

ありますが

上の2枚はふざけてる感じすらして

とてもじゃないけど

ファムファタールな女性の

貫禄はなく

お盆に乗せているのが

人の頭部だという猟奇性も

感じません。





やっぱり卓越した画力に

光と影のコントラストが素晴らしい

カラヴァッジョの絵が1番です。





彼がいなければ

ルーベンスやレンブラントもいなかったと

言われるほどの影響力を誇った

カラヴァッジョ。





死の直前に描いたのが

「ゴリアテの首を持つダビデ」

だというのも

何気に印象的なエピソードです。





2年くらい前に阿倍野で

カラヴァッジョ展をやってたんですが

全然知らなくて見逃したのが

残念でたまりません🥲





卓越した絵画の才能のみならず

いろいろと人間としても

興味深い画家なので

今後も定期的にカラヴァッジョは

取り上げていこうと

思います。