タイムカードの取扱いについては、事業を展開している業種や規模によっては、実に悩ましいところがあります。何かのきっかけで社内でクローズアップされ、頭を抱えている事業主もいるはずです。
タイムカードの取扱いについて、基本的な考え方を、まとめておきます。
なお、タイムカードの取扱いについては、お金を掛けて高額なシステムを導入すれば単純に解決できる問題ではなく、何よりも、まず、社内での実運用が、コンプライアンスでグレーであるならシロに近づける努力が必要でしょうし、コンセンサスを得られるレベルであると判断したなら、それを周知徹底して、落とし込む必要もあるでしょう。私も、全国展開している上場企業で企業法務・内部統制・人事労務と実務を経験してることから、社内での実運用に至るまで相応なノウハウの蓄積があり、ご相談には応じられます。
■タイムカードの基本的な考え方
タイムカードの打刻
タイムカードの打刻は、拘束時間を把握することを可能にするが、労働時間の開始や終了を表すものではない、とする裁判例は数多く存在する。しかし、タイムカードの取扱いについては判例も割れており、時間外労働の時間数を認定できるとしているものもある。
タイムカード設置の趣旨
事業主(使用者)が従業員にタイムカードを打刻させるのは、一般的に、従業員の出退勤(遅刻・欠勤など)を確認するためで、①出社時刻と②始業時刻・③終了時刻と④退社時刻はそれぞれ分ける取扱いをしている。
裁判におけるタイムカードの扱い
タイムカードで従業員の労働時間を管理しているなど、特別な事情がある場合を除き、打刻時間が始業時刻より早かったり終了時刻より遅かったとしても、それが直ちに使用者の指揮命令下にあったと、事実上の推定をすることはできない。
特定社会保険労務士 尾沼昌明
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