30回目の旅は、花巻駅から歩きます。
東北本線車内で、学ランのぼくとつとした男の子がリュックの中の水筒からお茶をこぼしてしまい、ティッシュを何枚も出して一生懸命に床を拭いていました。流れる筋を追って拭いていくと、反対側から髪を後ろで束ねた女性がトイレットペーパー片手に床を拭いています。学ランの男の子は軽くお礼をいい、自分の席に戻ってなおも床を拭いています。私はザックにコンビニ袋が入っているのを思いだし、取り出して男の子に渡しました。
今度は私の側に座っていた三十がらみの男性が、読んでいた新聞を破って男の子に渡します。男の子はお礼を言ってリュックを拭いていました。最後に、その男性の奥さんがコンビニの袋を手渡しました。
十分もかからずに床はあらかた拭き取られ、私は一生懸命に拭いた男の子だけではなく、手助けしてくれた他の人にも感動してうるっときました。
なんだかいい旅の始まりです。
快晴の日曜日、山梨県石和温泉駅の裏にでんと座る大蔵経寺山に登りました。舌を噛みそうな名前です。
大蔵経寺の登山者用に設けられた駐車場から歩きます。登山口に設置されたイノシシの侵入を防ぐ為のフェンスをくぐるときに、いきなり頭をぶつけかがみこみました。
舗装された道を歩いて10分ほどの分岐に案内板が立ち、私は左手の登山道を進みます。山神宮を経て積石塚古墳群の岩の間を縫うように登っていきますが、フカフカの枯れ葉が厚く積もり時々足を滑らせました。木々の間に時折顔を出す南アルプスはまだ冬化粧。しかし林床に降り注ぐ陽ざしは先月より格段に強くなり、春の到来を感じました。
岩間の道を休み休みこなし、傾斜が緩くなった先が山頂でした。しかし、三角点のある山頂広場より岩堂峠方面(北西方向)の方が明らかに標高が高いのに、なぜこの場所を山頂としたのかいささか不思議です。お弁当を紐解き、お湯を沸かしてインスタントの豚汁をつくり、しばしの休憩です。
下山は展望台方面にとります。こちらの道は傾斜が緩く、登ってくる多くの登山者たちとすれ違いました。仰ぎ見れば淡い緑の若葉が小さく開き、吹き抜ける風は冷たいもののもう冬の陰はありません。溜まりには小さなオタマジャクシがたくさん泳いでいます。
璃宮観音が見下ろす展望台からは、石和の街と折り重なる山々がつくりだす稜線の上にヌッと顔を出す富士山が眺められました。
山梨百名山 21/100
大蔵経寺山
2023.04.09
大蔵経寺駐車場 → 案内板分岐 → 山神宮 → 積石塚古墳群 → 大蔵経寺山 → 展望台、璃宮観音 → 案内板分岐 → 大蔵経寺駐車場
・展望台経由は傾斜が緩く、山神宮・積石塚古墳群経由はきつめ。













