コイバナ   ~2歳頃から~ | おばあちゃんになった、わんこさんのおはなし。                    ~高齢柴犬の闘病・介護記録~

おばあちゃんになった、わんこさんのおはなし。                    ~高齢柴犬の闘病・介護記録~

ハイシニア柴犬介護記録です。
1年3カ月の闘病期間を含め、いつでも家族みんなで笑いながら過ごした、柴犬「わんこさん」との16年と8カ月の生活。
悲喜こもごもあったけど、トータルしてとっても幸せだった日々のおはなしです。

犬と一緒に過ごす生活って、いいね。

わんこさんの思い出話、今回はわんこさんの恋愛編?

 

…って大袈裟なことを言っても、私はわんこさんの恋心をどこまで理解していたかと問われると、本当に心もとないのです。だって私には、お散歩中のわんちゃんを見た目で男の子か女の子か判断する能力はなく、今から思い返せば適齢期のわんこさんを連れ歩きながらも当時「わんこさんが恋愛感情を持っているかもしれない」などとは夢にも思わずにいて。

すれ違うワンコは一律「わんこさんのお友だち」と認識していました。言うなれば幼稚園児のお母さんみたいな心境で、わんこさんの恋愛話なんてことは、まだまだ遠い話だとずっと思い込んでいましたから。(今時の幼稚園児はおませで、恋愛事にも長けているのでしょうか?お隣の女の子は、遊びに来ていたお友だちが帰ってしまうのが悲しくて、「わああん、帰らないで~、○○君。私と結婚してくれるって言ってたでしょう、ねえ、忘れちゃったの~?約束守ってよう!!」と大声で泣きながら引き留めて、お母さんに「3歳だから、その約束まだ無理!」って実に簡潔に一蹴されてましたね。)

そして神聖に隠匿されるべき初恋の話を、私がここで勝手に暴露してしまうのもどうなのかな、とわんこさんに対して罪悪感もあります。けれどこれから私が語るのはたぶん、他愛もなくプラトニックな、のんちゃんとわんこさんの思い出話。

 

私がはじめてのんちゃんに出会ったのは、わんこさんのお散歩中。おそらくわんこさんが2歳前後のこと。季節がいつだったのかは、もうはっきりとは思い出せません。笑顔を浮かべたやたらお話し好きのまあるいおばちゃんが連れた、気難しい顔をした若い柴犬がのんちゃんでした。おばちゃんは同じ赤柴ということで親近感を持ってくれたのか、それとももともと他人との距離感が近いのか、今となっては両方正解だと思えるのですが、とにかくその日の私は質問攻めにされました。わんこさんの名前・年齢にはじまり、住所や家族構成に散歩時間まで。それから間もなく、のんちゃんはわんこさんの散歩友達になり、特に母とのんちゃんのお母さんは誘い合っていつも一緒に散歩をするのが常になりました。私と歩いている時にもわんこさんはときどき、「のんちゃんの彼女」と呼ばれることがありました。

 

わんこさんが亡くなってから、のんびり過ごした年末年始の時間の中で。ふと話題にのぼった、のんちゃんとのんちゃんのお母さんの思い出話。二人はわんこさんが旅立つより先に、虹の橋の向こうの世界に行ってしまっていました。のんちゃんのお母さんは、白っぽさが勝った色合いの赤柴同士の、のんちゃんとわんこさんを「結婚させたかった」のだそうです。

「はじめて会った時にはもうすでに、わんこさんは避妊手術をした後だったものねえ。」といつも残念がっていて、

「あれ?うさちゃんはその話、一回も聞いたことないの?」と母が驚いたほど、何度も何度も繰り返し言っていたことなのだとか。

 

のんちゃんのお母さんがその話題を出さなかった理由には、なんとなく心当たりがありました。初めて出会った日に、わんこさんの性別を聞かれた時。避妊手術の是非についてまだ回答を出しきれず、少しの罪悪感を引きずったままだった私は、

「もともとは女の子だったんだけれど、今は…ニューハーフ?昨年に避妊手術をしてしまったので。」という何ともへんてこりんな回答をしたのです。手術をして、本当によかったのかなあ?と思考の迷路から抜け出せていなかった私の迷いを目の当たりにした後には、さしものおしゃべりおばちゃんも子犬の繁殖の話題は出しづらかったのでしょうね。

 

気難しいのんちゃんは誰とでも仲良く散歩ができる子ではなく、それでもわんこさんなら一緒にいても大丈夫で、時にはラブラブのアタックをするくらいに自らわんこさんの近くに寄ってきて。

「こらこら、のんちゃん、ここは公道ですよ。控えてくださいな。」とのんちゃんのお母さんがのんびり朗らかにたしなめるその言い方がおかしくて笑ったりしました。

のんちゃんのご家族も我が家でも、二匹の赤柴の特徴の違いは明らかで間違うはずのないものだったけれど、ご近所さんには「そっくりで見分けがつかない」と言われた仲良しの柴犬カップル。実のところはわんこさんはのんちゃんのことを、どう思っていたのでしょう?みんなが言うように、のんちゃんの彼女だったのかな?

一つ歳の若いのんちゃんの方がずいぶん先に虹の橋に向かってしまい、残されたわんこさんはどれほどさみしかったのだろうか、もうのんちゃんを連れてこない一人で歩いているおばちゃんを見て何を思っていたのか。もしのんちゃんとの間に子犬が産まれていたのなら、わんこさんはどんなお母さんになっていたのだろう。そして、わんこさんが旅立っていった虹の橋のたもとで、のんちゃんはわんこさんを待っていてくれたのだろうか。無事に再開できたかな?今みんなはどうしてるの?

 

今は、こたえの返らないこの質問の数々。いつか私が虹の橋に向かったら、その時には真相が聞けるのでしょうか。私の数少ない上にあまりぱっとしないコイバナも、聞きたい?

その時は、ゆっくり語り明かそうね、わんこさん。

        
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