2024年3月6日、福岡におりました。

お昼に『元祖長浜屋』でラーメンベタナマと替玉ヤワを戴きまして。

そのままぶらぶら散歩をして大濠公園を抜けて福岡市美術館に参りました。

特にこれと決めて行ったわけではなかったのですが、ちゃんと導かれたようです。

カモンレッツゴー美術館。

 

 

フィリップ・K・ディック『ヴァリス』の表紙絵。

日本のシュルレアリズム画家である藤野一友(1928〜80)の「抽象的な籠」と云う作品です。

これが福岡市美術館に収蔵されており、展示されておりました。

撮影禁止でしたので『ヴァリス』の方を載せておきます。

この本に出会ったのは高校生の頃だったか大学生の頃だったか。

まあお年頃ですのでこう云う女性の肌が露わになっているような表紙には見事に惹かれて引っ掛かるるわけで御座いますわよ。

でも内容がもう難解で複雑でSFと云うよりも哲学の本を読んでいるような気になって参りまして。

それでも読み進むうちに何となくですが狂気と云うか神秘と云うか虚構と云うか宗教的と云うかそんな世界に漂うように入り込んでおりました。

ふと入った美術館でこの絵からまた『ヴァリス』を読み直すきっかけを得ました。

またゆっくりその世界に入ってみようと思います。

そして「抽象的な籠」を実際にこの目で見て、こちらにはまた別の認識を持つようになりました。

『ヴァリス』の、ではなく藤野一友さんの、独立した異世界への入口。

この出逢いが自分に何をもたらすのか、もう少し吟味してみたいと思います。

 

 

日本の美術家、オチ・オサム展も開催されていました。

こちらは1962年に発表された「出口ナシ」と云う作品のレプリカ。

写真撮影可のエリアでしたので撮影して参りました。

1962年はワタシの生まれた年。

ワタシが知り得なかった1962年当時の時代感を眼前にしたような気になりました。

出口ナシ。

No Way Out、か。

これもまた何かの巡り合わせかと考えております。

 

 

こちらオチ・オサム「(題不詳)」。

Title Unknown、です。

これまた行き止まりと云うか出られないと云うか。

タイトルは最初からなかったのか、あったけど失われてしまったのか。

何か色々と余計なことを考えてしまいました。

 

 

日本の古美術の展示スペースには平安時代の薬師如来立像などがズラリ。

ここは何だか特別に落ち着く空間でした。

何かを得たような、なくしたような、変わったような、変わらないような。

みんないっしょか。

 

 

また来ましょう。