Captured Live!
Johnny Winter
さあワタシのロック思い入れダダ漏れシリーズ。
長ーいですよー。
今回は遂にジョニー・ウインターであります。
遂にも何もまあファイアバード(Gibson Firebird)でサムピックと云うことでワタシにかなり影響を強く与えたと云うのは全く以てその通りで御座います。
何故にそのスタイルを導入したかはややこしいのですが割りきってそのようにしたのは随分と後々になってから。
順を追いますとまず高校生時代、我が家の(と云うかワタシの独占状態)レコードプレイヤーのターンテーブルに3年間の8割くらい載っかっておりましたのが『Live / Frank Marino & Mahogany Rush』です。
残りの2割の半分がこのジョニー・ウインターの『狂乱のライブ』(←邦題)でありました。
その他のアーティストやギタリストの作品はどうだったかと申せばそちらはカセットテープに録音して聴いておりました。
LPレコードは当時まだ20枚か30枚しか持っていなかったと思います。
シングルもやっぱり20枚か30枚くらい。
余談ですがビートルズはシングルでも片面に2曲ずつ入っていたのでお得でした。
その中でとっかえひっかえ聴いておりましたので当然聴くモノが偏ります。
その中にフランク・マリノがあってジョニー・ウインターがあってスコーピオンズのヴァージンキラーがあってジェフ・ベックのワイアードがあって四人囃子があって。
後は何があったっけかな。
まあとにかくジョニー・ウインターのこのライブは最初エアチェックでカセットに録音してあったのですがどうしてもレコードが欲しくて買ったのでありました。
今聴いてもゾクゾクと寒気がするくらいですから当時のワタシのゾクゾク加減は推して知るべし。
聴きに聴いてとにかくコピーしまくりました。

サムピックを初めて使ってみたきっかけは良く覚えていませんが、周囲にフォークソングが好きな友人がいっぱいいて、その中でサムピックを使っているのがいて、それを借りて弾いてみたってところではなかったかと思います。
そう、サムピックはどちらかと云えばフォーク方面で使うものだと思っていました。
それがジョニー・ウインターが使っているのを知り、ドゥービー・ブラザーズのパット・シモンズも使っているのも知り、それならロックでも使ってみようと思ったのかな。
今ではサムピックで大体何でも弾いてしまうのですがここまで使いこなせるようになったのはまだずっと後で、80年代後半くらいだったかと。
クレイジーケンバンドの初期はもう殆どサムピックで弾いていました。
今ではコードカッティングをする時には殆どスラップのようにしてサムピックでプレイしております。

ワタシのファイアーバード(Gibson Firebird '76 アメリカ建国200周年記念モデル)はヤマハの横浜店(まだビブレの地下階にあった頃)にずっと店内に吊してあってなかなか売れなくて残っていて。
それをワタシが買ったのは多分20歳くらいの頃じゃなかったかな。
値段は35万円。
漢(オトコ)の10回ローンで買いました。
ローンを払っている間はとにかくアルバイトアルバイト寝ても覚めてもアルバイト。
そりゃあ大学もクビになりますって。
それでも買ってすぐにバリバリ弾いたわけではなくて、実は友達に半年くらい貸し出したりしていて。
図体がデカくて持つとバランスが悪くて音がキンキンしていてヒジョーに扱いづらくて何でこんなギター買っちゃったかなと当時はちょっと後悔すらしたものです。
それが後に自分のトレードマークになるとは全く思いもよらず。
当時はフェンダーのストラト('78の地獄のように重いヤツ)をメインで使っていました。
自分ではそれが世界一イイ音のするストラトだと思っていたのですけどね。

1990年に廣石さんに誘われてZAZOUに加入しました。
その時に剣さんの家でミーティングする時に自分の持っているギターを色々持って行ったのです。
剣さんの家にギターアンプがあったように記憶していますがそれで自分のギターを色々鳴らしてどの音が剣さんは好きかなと訊いてみたのです。
そうしたら剣さんがファイアーバードを「これはイイ音がするね」とダントツ1位指名。
なるほど、そうですかとその後にレコーディングで参加したZAZOUの2ndアルバム『Love Style』では多分7割か8割くらいファイアーバードを使ったと記憶しています。
その後はまたストラトに戻したりギブソンのレスポールカスタム(重たいのですぐ手放しちゃった)を弾いたりしたのですがやっぱりファイアーバードに戻りまして。
そしてクレイジーケンバンドの『Punch! Punch! Punch!』へと辿り着きます。
あのアルバムのファイアバード率は9割以上。
今でもアルバムのレコーディングには必ずファイアーバードが登場します。
何だか全然ジョニー・ウインターの話になりませんすみません。

ああその1990年、ジョニー・ウインター初来日でワタシ整理券番号9番をゲットしておったのです。
ところが服用している薬が日本国内持ち込み禁止のモノとかで入国不可のライブ中止。
日本でジョニー・ウインターはもう観られないのだと諦めました。

ようやく『狂乱のライブ Captured Live!』の本題へと入ります。
アルバムに針を落とすとオーディエンスの歓声がフェイドインしてきて、“Ladys and Gentleman, Johnny Winter!”と紹介されます。
1曲目は“Bony Moronie"(邦題はマカロニ・ボニー)であります。
すぐにジョニーのギターイントロ、これが最初から弾きまくり40秒以上ざっくりと32小節ほどのお一人様劇場。
これがまたカッコイイのよ。
ここだけで飯が一膳食えるのよ。
ほいでもってドラムのフィル1小節と共に曲に突入。
歌もスゴイ。
ワタシの個人的見解ですがジョニー・ウインターの声にはサザエさんの波平の声の要素(声優は永井一郎さん)が多分に含まれていると思うのです。
この波平要素は他にウルリッヒ・ロートやフランク・マリノなどギター&ヴォーカルのアーティストに多く含まれていると云う研究結果が御座います。
森園勝敏さんにも波平要素は多分にあります。
ワタシは自分の声にこの波平要素がとても少ないことにずっと思い悩んでおりました。
今は受け入れておりますが、ワタシにもし波平要素があったなら今頃はブルース、またはブルースロックのアーティストになっていたことでしょう。
またジョニー・ウインターからズレましたすみません。

で、まだ1曲目のマカロニ・ボニーですが、歌の2番が終わって右チャンネルから聞こえてくるギターソロはジョニーではなくてセカンドギタリストのフロイド・ラドフォードのソロです。
これもなかなか独特の音色と早いパッセージ多用でイイのですが、最初はこれもジョニー・ウインターだと信じてコピーしてしまったのはよくありがちな初歩的なミスであります。
こっちの方がサウンドがクリアでコピーしやすいので仕方がないのですけれどもね。
そんなわけでワタシはこの最初のソロパート今でも弾けます(さっき弾いてみて確かめました、覚えているもんだなぁ)。
そしてこのフロイドのソロのバックで弾いているジョニーのギターがもうソロを盛り上げているのか自分が目立とうとしているのか判らないですがヒジョーにカッコイイの。
そしてフロイドのソロの最後の4小節は自分が上の方のソロをぶち重ねてもうこのソロは自分の手柄だと云うくらいの換骨奪胎さ加減。
それで自分が歌い出すってんだからやっぱり押しが強いわよねぇジョニー。

さて歌の3番を挟んでジョニー・ウインターのギターソロに突入します。
ジョニーは終始フェイザーをかけっぱなしでこのソロの頭は和音を鳴らしているところにフェイザーの波がウマイこと重なってぐじょんぐじょんになってまあこれがカッコイイのだけれどコピーはしづらい。
ジョニー・ウインターのフレーズをあれこれコピーするとああこの辺でこんな風に弾いているんだなと類推するしかない最初の4小節のぐじょんぐじょんなのであります。
そこから急激に浮上しての3連フレーズ連発途中に1拍抜いてトリッキーに3連をずらしながらの4小節。
ちょっと調子を整えつつの同じフレーズ3連続からちょっと迷いのある箇所も含めてカッコイイ4小節+4小節。
そしてまた空に飛び発つようにハイフレットに移動して縦横無尽の4小節+4小節。
これでソロ前半。
ソロ後半はメイジャーもマイナーも行ったり来たりの正に自由自在縦横無尽の24小節。
そしてフロイドのギターソロも呼び込んでとにかく2人弾きまくりの24小節。
ああやっと1曲終わったぜ。

ジョニー・ウインターは3連または6連フレーズの宝庫であります。
基本は3。
そして先出の通り1拍抜いてトリッキーにフレーズをずらしてみたりするわけでして。
ワタシとしてはとにかくジョニーのリズムの正確さに瞠目するわけであります。
正確さと云うか安定感と云うか揺るぎないノリと云うか。
当たり前ですが徹頭徹尾ジョニー・ウインターなのです。
この確固たるリズムがあるからこその3連6連フレーズ連続そのずらしが快感になるわけで、リズムがダルいと全然気持ち良くないわけでして。
水泳の潜水をやっているかのようにその連続フレーズを泳ぎ切るわけです。
それは自分がとにかく練習で意識した箇所。
同じタイム感でしっかり弾ききること。
それがギターソロの華になること。
なのでした。
ソロがピッタリくればバッキングも同じようにピッタリくるようになって1曲を通してピッタリ弾くその70年代的ギターのコントロール。
ずっとずっと忘れずにこれからも自分とリズムが一体になるように精進します。
これがズレてくるのが結構恐怖でね。
練習します(今もずっとギター抱えてますが)。

もう長くなりすぎたのでそろそろやめますが、3曲目“Rock & Roll People”(ジョン・レノン作)のイントロのギター、ジョニーだけで8小節、バンドが入って20小節、これが珠玉のプレイ。
そして歌パートで自らヴォーカルとギターの掛け合いをやって突入のギターソロ54小節。
9小節目から16小節目の6連フレーズの移動の凄まじさ、37小節から40小節のピーク、でもまだまだスゴイ45小節目からのコードカッティング的アプローチの衝撃、とにかくサイコーでサイキョーなのですジョニー・ウインター。

レコードのB面で聴けるジョニーのスライド。
2011年、東日本大震災の直後、4月に来日してくれたジョニー・ウインター@Zepp Tokyo。
まさか日本でジョニーを観られる日が来るとは。
ジョニーがステージに出て来た瞬間ワタシは「出たー!」とお化けでも見たような声を発しました。
ジョニーはもう座ってしかプレイ出来なかったけれど、演奏しているうちにどんどんノリが出て来て声がバリバリ響いて。
ギターはね、もうあまり早いフレーズは弾けないけれどリフはしっかり弾いていて。
そして遂にライブ終盤にファイアバードが登場してのスライド。
スライドの切れ味は凄かった。
自由自在、縦横無尽。
スライドって自由がそのまま音になっているんだなと思いました。
あまりスライドやらないけどスライドってイイなとは思います。
またやろうかな。
ホントに長々とすみません。

あとアルバムの裏ジャケットの写真、プレイ中のステージをドラムの後の方から撮ってます。
ジョニーがシルクハットみたいのをかぶっているの。
心からカッコイイと思います。
ロックンロール。