8の殺人:感想 | しのぶーのブログ

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あらすじ

建物の内部にある中庭が渡り廊下で結ばれた、通称“8の字屋敷”で起きたボウガンによる連続殺人。最初の犠牲者は鍵を掛け人が寝ていた部屋から撃たれ、二人目は密室のドアの内側に磔に。速水警部補が推理マニアの弟、妹とともにその難解な謎に挑戦する、デビュー作にして傑作の誉れ高い長編ミステリー。

(byアマゾンのページ)


「デビュー作にはその作家の全てが詰まっている」

ということで、安孫子武丸のデビュー作を読んでみた。


読み始めてまず最初に思ったことは、『会話が多いな』ということ。

怪異も幻想もなく、コメディータッチの会話が繰り広げられる。

物語の語り手でもある速水恭三のあだ名は「ハゲタンク」であるし、その部下:木下にいたっては、主要登場人物欄にも「木下」としかなく、名前すら設定されていないことが哀愁を誘う。


肝心の物語はというと、「ハゲタンク」の行動力や恋心により、するすると動いていくので、とても読み易い。

また、登場人物達の中に真人間がおらず、みな一癖も二癖もあるため、キャラがたっており行動が分かり易い。

全体的にとても読み易い本格推理小説だった。


小説の中に印象的なセリフが一つ。

犯人がなかなかトリックを暴いてくれなかった警察に

「細かい証拠は他にも残しておいたはずなんですけどね、誰も気付いてくれなかった。警察の捜査がこんなにいい加減だとは……想像以上でしたね」

というセリフがあるが、このセリフが作者から読者へのメッセージに聞こえてしかたない。

実際、この後数々のヒット作を執筆する作者らしいセリフだと思う。


※以下ネタばれあり

自分は、漫画:金田一少年の事件簿世代(そんな世代があるのかどうか知らないが)であるため、「学園七不思議殺人事件」と「金田一少年の殺人」を読んでいた。そんな自分にとって、本作のトリックを見破ることは全く問題ではなかった。

…というよりは、「異人館村殺人事件」において島田荘司の名作「占星術殺人事件」をほぼ丸パクリした前科があるので、「またやってくれたな!!!」という気持ちが強い。

金田一少年の事件簿は、漫画という分かりやすい媒体で推理物を世に広めた功績があると思っていたが、こういった落とし穴もあるとは…

大胆なトリックだっただけに、予備知識がない状態で読みたかった…、残念。

読んでよかった度 :☆☆☆

もう一回読みたい度:☆☆

解説にもあるとおりギャグ面から見ても面白い度:☆☆☆☆