音楽劇『ライムライト』大千秋楽 | 人間の大野裕之

人間の大野裕之

映画『ミュジコフィリア』『葬式の名人』『太秦ライムライト』脚本・プロデューサー
『チャップリンとヒトラー メディアとイメージの世界大戦』岩波書店 サントリー学芸賞受賞
日本チャップリン協会会長/劇団とっても便利

音楽劇『ライムライト』は、本日の名古屋公演で、大千秋楽を迎えました。

石丸幹二さんは、数ある『ライムライト』の名台詞のなかでも、「我々はみんなアマチュアです。アマチュア以外になる前に人生は終わってしまうのです」が、「心を打ちました」とのこと。
原文は、That's all any of us are - amateurs. We don't live long enough to be anything else.
石丸幹二さんと同じく、私もこの言葉が好きです。残酷なまでに力強い言葉です。

それにしても、チャップリンの原文と僕が翻訳した台詞を並べるとぞっとして汗が出ます。
あの深く、美しく、残酷で、恐ろしくて、軽妙で、ユーモアにあふれて、切なくて、悲しくて、生きることの素晴らしさや人間の醜さ、そして愛を描き切った世界をぼくはどこまで舞台に移し替えられたというのでしょうか…
台本の欠点を補って、感動の高みまで引き上げてくださったのは、演出の荻田浩一先生をはじめとした最高のスタッフ、そして石丸幹二さんをはじめとした素晴らしい出演者陣でした。幸せな現場でした。

あらためまして、各地で熱烈な拍手をいただき、ありがとうございました。出演者が劇のドラマを生き、それだけでなく、お客様も劇の世界に自分の人生を投影するように見てくださっていたように思えます。皆様の人生に、ライムライトの愛が輝きますように。大野裕之