自己とは何か?
を問う、生命科学書。
まー、難解です。
だから、
少しずつしか進まず、
ずいぶん前の本ですが、
いまだに僕の本棚の
いちばん目立つ場所に
鎮座しています。
***
この本に直接、対するには、
まだまだ難しい。
ちょっと周囲を固めねば
ということで、
「免疫の意味論」にまつわる論評を、
集めてみました。
でもその中で、
めちゃくちゃ面白かったのが、
これまた僕がよく読ませてもらってます、
ここから、
多田富雄先生の天才性が
伺えます。
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多田富雄が笑いながら答えた、
東南アジアで水を飲むと
われわれは下痢をしますが、
向こうの人たちは平気です。
これが免疫の本質です。
でも、不潔だからいい
ということじゃないんです。
問題は
「部品の病気」と「関係の病気」
ということなのである。
部分が治ったからといって、
関係が治ったわけではない。
多田富雄さんは
つねに「関係の病気」を研究し、
そのことを文章にも、
能にも、詩にも、してきた。
***
今度は多田富雄が、
こう言った。
私は井上さんの
『私家版日本語文法』を
何度読んだかわかりません。
そこで、あれに触発されて、
「私家版免疫文法」という
スライドまでつくったんです。
免疫にも文法の
時制のようなものがあるんです。
そうしたら井上ひさしが、
こう言った。
教室で一回さされると、
当分さされることはない。
これは免疫みたいなものですね。
***
「人間は女がモトで、
男は女があとから加工されて
できあがった」
と書いてあったでしょう。
多田富雄が、微笑して言った。
男はむりやり
男になっているんですから、
型通りにならない男は
いくらでも出てくるんです。
しかし、多田さんは、
そこをこんな名文句で
まとめてみせた、
「女は存在だが、
男は現象にすぎない」
***
免疫とは、
生命科学であり、
哲学です。
コロナ禍以降、
ダイナミックな免疫哲学が
見られなくなってしまいましたが、
だからこそ引き続き、
『免疫の意味論』に向き合おうと思います。
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