おのころ心平です。
朝の記事からの続きです。
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わしの仲間は、ひとつの肝臓に、
なんと2,500億個もおるのだ。
わしらは肝小葉という
グループ単位で構成されていて、
ひとつの肝小葉には
50万くらいの肝細胞がひしめきあっている。
その肝小葉がまた50万重なりあって、
肝臓という臓器をつくっておるというわけだ。
数が多いだけに、その数に任せて、
免疫の攻撃には身をもって
応えることになっている。
わしらの仲間の多くは、
ウイルスに感染したら、
そのウイルスを抱え込んだまま、
もろとも自爆するわけだな。
哀しい性(さが)ではあるが、
ASTとかALTとかの数値は、
自爆したわしらの仲間の死骸が、
血液中に流れ出た証拠だと知ってくれ。
***
肝炎ウイルスが
アジア人になぜ多いのか、
医学的に詳しいことは
まだわかっていません。
ただ、アジア人特有の食様式が、
欧米輸入食にとって代わられ、
肝臓の負担が増えた、という背景は
大きく関与しているのかも知れません。
肝臓は、先祖の時代から
伝統的に食して来たものの分解の仕方は、
よく知っています。
「地産地消」「身土不二」…。
肝臓の歴史は、これで成り立ってきたのです。
それだけに、これまでに経験のなかった
食べ物や人工の生成物に対しては、
肝臓は因数分解を解くがごとく頭を悩ますのです。
…「むー、これはどうやって解くのだ?」
肝臓の大きな役割に「解毒」がありますが、
解毒とは「毒をも理解する」とも解釈できます。
肝臓は、いつも自分のところに来る相手を
理解しようとし、これは、今の自分にとって
有用か、そうでないかを見極めようとしているのです。
***
わしらは、理性と正義の門番なのだ。
理性を持って相手を見極め、
有害だと思えば解毒して腸に差し戻す。
これには並々ならぬ判断力、
そしてそれを下すに見合う
相手への理解力が必要なのだ。
ところが、あまりに理解不能なものばかりが
いつも送られてくると、わしらもオーバーヒートして、
中にはヒステリックになって弱ってくるものも出てくる。
そんなふうに弱ったわしらに、
肝炎ウイルスは感染してくるのだ。
ウイルスのやつらも、わしらが正常な判断力を
持っているか否かはよく見ている。
正常な判断のできぬ肝細胞は、
カラダにとって危険だというわけだな。
***
血液中に安定した社会を実現するのが、
肝臓細胞さんの至上命題です。
代謝、無毒化、貯蔵を通じて、
血液へ常に安定した栄養素を
送り続けようとしています。
ここには、毅然とした判断力と、
冷静で理性的な態度というものが
いつも要求されます。
ところが、この肝臓細胞さんにも、
陥りやすいワナというのがあります。
それは、「硬直した正義」とも呼ぶべき、
頑なな判断基準なのです。
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