Q:水いぼができました。どうしたらよいでしょうか?
A;水いぼは伝染性軟属腫と言います。ウィルス性の病気で、ウィルスが弱いため、体の免疫細胞が認識して攻撃することを積極的にしないため、数ヶ月から数年間感染が持続します。水いぼができやすい体質の小児は、乾燥肌で皮膚のバリアが弱いことが多いため、日頃保湿剤をしっかり塗ってバリアを作っておくことが、発症を予防し、感染拡大を防ぎます。
掻いてしまうと水いぼの中のウィルスが周りに飛び散ったり、爪に入ったウィルスが他の場所で増殖し新しいいぼを作ります。アトピー体質で体をかゆがるお子さんは、全身に拡がることがあります。ウィルスに対する抗体ができると跡形もなく消失します。それまでできるだけ増えないように、保湿を良くし、湿疹があれば痒いので、ステロイドを塗って湿疹をよくしておきましょう。
当院では昔は摘除していましたが、皮膚をピンセットでつまむので、かなり痛みがあります。また、摘除しても新しいのができるため、何年も前から当院では摘除していません。摘除を希望する場合は皮膚科受診を勧めています。無責任さを感じてはいますが、増えないように一生懸命保湿剤を塗ることを指導しています。増えてしまいやすい子供は、そのあたりに頑張ってほしいと思っています。
保存的治療として、消毒用のイソジン液(うがい用でない)を、爪楊枝の持ち手側につけて、水いぼを破らない程度にひねりながら塗布する。毎日の入浴前にこれを行い、乾いてから(15分くらい)お風呂で綺麗に洗って、タオルで拭いた後、保湿剤をたっぷり塗ると数ヶ月で効果が見られてくることがあります。プールは日本臨床皮膚科学会と日本小児皮膚科学科より統一見解が出ていて、タオルやビート板などの共用に留意すればプールに入ることは問題ないことになっています。
Q:妊婦の喫煙や受動喫煙によって、生まれてきた赤ちゃんのアトピー性皮膚炎のリスクが上がる?
A;子供や妊婦に対する喫煙・受動喫煙の影響としては、早産や低体重などの妊娠中や出産時のトラブル、出生後の乳児突然死症候群や気管支喘息などの発症リスクが高まることが知られています。これらに加えて、子供のアトピー性皮膚炎も、妊婦中の時期のたばこの煙が関係していることがわかりました。。
高知県の乳児健診で、アンケート調査を行い解析したところ、喫煙や受動喫煙があるとアトピー性皮膚炎や乳児湿疹と診断された割合が多かった。特に、親にアレルギ-がないグループで、妊娠28週以降に喫煙・受動喫煙が「ない」と答えた妊婦の赤ちゃんが皮膚疾患になる割合は26.6%だったのに対して、「ある」妊婦の赤ちゃんは38%と明らかに高かった。
妊娠後期に当たる28週以降は、体の中に異物を認識できるよう免疫が成熟する時期で、この期間に母親を介して胎児の免疫に喫煙が影響している可能性があるので、禁煙・受動喫煙の防止は、予防の1つになる可能性があるようです。
Q:これからの季節、子供がイオン飲料を多く飲みますが、大丈夫でしょうか?
A;運動後や汗をかいた時の水分補給にイオン飲料をとる人が多い。糖分と塩分を含む飲み物で、身近なのはスポーツドリンクです。体に良い飲み物という印象から、子供に日常的に与えている親もいます。この数年前から、飲み過ぎで「かっけ」になる子供が、離乳期を中心に増えています。。
「かっけ」は、ビタミンB1(VB1)欠乏症の1つで、手足のしびれやむくみが起き、歩行障害や神経障害、重症化すると心不全になります。スポーツドリンク100?あたり約5gの糖分を含みます。VB1は体内で糖を分解してエネルギーを作るために必要です。スポーツドリンクを1㍑飲む毎に体内のVB1を約0.1㎎消費します。。
イオン飲料は運動時にエネルギーと塩分を補給するためで、脱水でない子供が飲むと塩分でのどが渇き、飲み続け、食事が取れなくなり、さらにVB1欠乏が進みます。脱水状態の子供には、糖分の少ない経口補水液が望ましく、それも一時的な飲み物です。日常では麦茶、水が良いでしょう。
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