おのぼりクリニックニュース No221(2月号) | おのぼり小児科・アレルギー科クリニック 毎月のニュース

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NO221(2月号)
 
【2017年の始まりは、快晴で気温も15℃近くまで上昇し、暖かい温暖なお正月でした。ところが大学センター試験のあった14,15日は、日本中が寒波に襲われ、晴れても北風が冷たく、最高気温も5度以下で、日本海側や北日本では大雪が降り、受験生にとって精神的にも肉体的にも辛い日になりました。その後は、春のように南風で温かい日と寒い北風の日が周期的にやってきています。】

 


 今年のお正月は、私の記憶の中でも珍しいくらい暖かく、穏やかな晴天の日が3日間続きました。その後は徐々に冬らしくなり、大学センター試験のあった14,15日は大寒波が日本上空を覆い、東京でも最高気温が5℃を下回り、とても寒い日になりました。寒波のため雪がちらつきました。日本海側や北日本では大雪が降り、受験生は交通機関への影響を心配しながら、精神的にも肉体的にも大変な2日間でした。

 

一部地域で試験開始時間を繰り下げたところもありましたが、幸い大きなトラブルもなく終わりました。毎年このセンター試験の時は寒波が襲い、受験生にとって余計な苦労をさせられます。諸外国のように、新学期の開始を秋に変えてもいいんではと思ってしまいます。一時外国との統一性を持たせるために、秋始まりに変える話題が取り上げられていましたが、最近は全然聞かなくなってしまいました。インフルエンザも流行するこの時期の入試はいかがなものかと考えてしまいます。

 

その後も南風が吹いて温かい日と北風が吹いて寒い日が周期的に見られ、1月末には15℃を超え、南風が強く吹き、春一番を思わせる日がありましたが、残念ながら立春の前だったので、春一番になりませんでした。関東地方の今年の冬は晴れの日が多く、降水量も例年より少ないようです。平年の冬と違い、同じ晴れでも、北風が吹く寒い晴れだけでなく、北日本を通過する低気圧に向かい、暖かい南風が強く吹く日も見られます。一方、寒波が来ると強力です。これは北極海の氷が減っていることと関係があるようです。今冬は北極海の氷が記録的に少ない状態が続いているそうです。

 

2016年は北極でも気温上昇が続き、10月の月平均の海氷面積は、1979年以降最小だったようです。北極の海氷面積と日本の冬の寒波や大雪との関係を36年間調べたところ、夏から秋の海氷面積が小さいと日本は寒い冬になりやすいとわかったそうです。

 

北極圏の海水温は、海水面より2℃くらい高いので、氷が溶けると海面のフタが外れたようになり、上昇気流が発生し上空の気圧が高くなります。上空の偏西風が蛇行し、その結果シベリア地域が寒冷化し、高気圧の勢力が強まり、その高気圧が寒気をため込んで「冬将軍」が強まります。日本では西高東低の気圧配置になり、北風とともに強力な「冬将軍」が日本に南下するそうです。

 

地球は基本的には温暖化していますので、日本海の海水温も高い状態で、「冬将軍」は大量の水蒸気を含み、日本海側に大雪をもたらします。地球の温暖化が、日本では大寒波や大雪をもたらしているようです。地球温暖化は止められるのでしょうか?米国の大統領が替わり、一段と厳しくなりそうです。


 寒波を伴った北風は、関東地方では乾燥した北風になります。このところ湿度が20%前後が続いています。室内は暖房を使っているので、さらに乾燥しやすい状況です。肌荒れやしもやけが多くなっています。小さいお子さんでも手があかぎれて受診してくるお子さんもいます。スキンケアが大切なシーズンです。インフルエンザのシーズンですので、相談のあるお子さんはアレルギー専門外来をご利用下さい。

 

 

《年末年始今シーズンのインフルエンザの流行は、ほとんどが成人でした。小児の流行は少なく、年明けも感染症の流行は少なかったのですが、1月20日頃から小学生や幼稚園・保育園で流行が始まりました。神奈川県も警報レベルになっています。ほとんどがA型です。2月中旬まで注意です。》

 

 年末年始の休日診療所の様子では、今シーズンのインフルエンザは成人が感染の中心でした。小児はほとんどいなかったようです。1週間ごとの秦野・伊勢原の感染状況でも、80%は20歳以上の成人でした。1月3週目から10歳代の感染が増えてきて、伊勢原でも中学から学級閉鎖が出ました。その後1月20日頃から当院でもインフルエンザ検査で陽性に出るお子さんが増えました。小学生に加え幼稚園児・保育園児にも流行が始まり、小学校、幼稚園でも学級閉鎖が出始めました。

 

今のところほとんどがA香港型です。B型は当院では、高校生で1名見られただけです。全国的にも9割以上A香港型だそうです。典型的な平年パターンは、A型が3週間くらい流行した後流行がB型に変わります。そのパターンだと今年ももう2,3週はA型が流行し、その後B型が流行するのですが、今年はどうなるのでしょうか。

 

いずれにしても2月末まで十分注意しましょう。来院している児の様子でも、重症感のあるお子さんと37度台前半の熱でも、クラスに何人も罹患者がいる場合は、やはり罹ってしまっています。軽症だとついそのまま登校させてしまいがちですが、その結果クラスで大流行してしまいますので、微熱でも周囲にインフルエンザが出始めていたら、念のため検査しておいた方が安全です。

 

 ノロウィルスと思われる感染性胃腸炎も昨年末から引き続き流行しています。ただ、インフルエンザが流行し始めてからは、少なくなってきています。溶連菌感染症はまだ流行しています。熱が上がり下がりし、のどが痛いお子さんは注意です。時にインフルエンザと溶連菌感染症を同時に罹ってしまったお子さんもいますので注意しましょう。

 

おたふくや水痘も患者の数は少なくなってきましたが、まだ散見されますので、予防接種をしっかりやっておきましょう。

 

 お正月が暖かかったためか、鼻水に加え目をかゆがる小児や大人が受診しています。自分もまさかと思っていましたが、朝くしゃみが連発し、目も少しかゆみがあります。梅の花も東京で平年より19日ほど早く、1月10日に開花したそうです。スギも間違えて花粉を飛ばしているのかもしれません。

 

今年の花粉の量は昨年並みだそうですが、昨年7月後半の気温と日照時間が、私の記憶では平年並みかそれ以下だったように思うので、少し少ないのではと期待していたのですが、1月から飛んでいるとやや外れてしまったのかもしれません。ただ今年は大量には飛ばないので、気持ちで負けないようにしましょう。

 

 

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メモ執筆者>
おのぼり小児科アレルギー科クリニック院長尾登 誠
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