【映画 オールド】 老いや死の恐怖、時間や記憶の呪縛を超えて | 恩寵と共にある

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今回は久々に映画の話しを。

 

 

先日今や店舗がかなり減ってしまったTSUTAYAで、映画「オールド」を借りてきて鑑賞しました。

 

 

「オールド」とはM・ナイト・シャマラン監督の新作で、劇場で見逃していたので、新作でDVDを借りることはあまりないのですが、待ちきれずに借りてきました。

 

 

シャマランといえば、一番有名なのは「シックスセンス」でしょう。

 

 

これは興行的にもヒットし、評価も非常に高く、アカデミー作品、監督賞などにもノミネートされ、これはホラー、サスペンスものとしては珍しいことです。

 

 

この映画はなんといっても、オチのどんでん返しが大変な話題となり、私も所見で見事にだまされて感心しましたが、これ以降シャマランといえばどんでん返しというレッテルが貼られてしまいます。

 

 

シャマランはサスペンス、ホラー色が強い監督ですが、実は救いのあるラストが多く、家族愛や人智を超えたものなどをよく描いており、どんでん返しだけを期待されるのは気の毒でもあります。

 

 

そんなシャマランの新作であるオールドは、時間が早く過ぎていくビーチに滞在することになってしまった家族たちが、そこでどのように過ごすのか?果たしてそこから脱出できるのか?という物語です。

 

 

そのビーチに2日間いると、成人は死を迎え、子供も中年になってしまいます。

 

 

登場人物たちは当然混乱し、ビーチから脱出しようとしますが、大人たちは老化が進んで死んでいき、主人公一家の兄弟は脱出できるか?という流れになっています。

 

 

この映画のテーマは、時間、老い、死ということになるでしょう。

 

 

時間があまりにも早く流れていき、それに肉体も精神もついていけず、すぐに訪れる死の恐怖にビーチにいる人々は混乱し、不安に陥り、恐怖に苛まれます。

 

 

混乱と恐怖の中で死んでいく者もいれば、主人公一家の夫婦は、ビーチを訪れるまでは関係が破綻していましたが、ビーチでの24時間でお互いの信頼関係を取り戻し、穏やかに死んでいきます。

 

 

同じ時間の流れにいながら、恐怖に苛まれ死んでいく人もいれば、全てを受け入れて穏やかに亡くなっていく主人公一家の夫婦のような在り方もある。

 

 

私はどのような時間の流れであろうが、どんな現象が起ころうが、意識の在り方でいかようにでもなり、受け入れる時には受け入れることであるということを受け取りました。

 

 

主人公夫婦は、ビーチに来るまでは険悪な雰囲気でしたが、急速に老いていくことで、どのようなことでいがみ合っていたかも忘れてしまい、共にビーチで過ごすことで失われていた信頼関係や愛を取り戻すことで、過去の記憶から解放され、穏やかに逝きました。

 

 

私達は記憶に支配されていますが、記憶の呪いから解き放たれることが大切であると改めて思いました。

 

 

主人公兄弟が脱出できるかどうかは映画を見ていただくとして、兄弟が取った行動は、先ほどは受け入れる時には受け入れると書きましたが、時と場合によってはしっかりと決断し行動することも必要であることを示しています。

 

 

そしてシャマランといえばオチに注目されてしまいますが、この映画に関してはオチは私にとってはさほど重要ではなく、そういう意見も多いです。

 

 

ただ現代社会に対する風刺も効いており、全くムダとは思いませんでした。

 

 

シャマランは一時期かなり冷遇され、評価も地に落ちていた時期もありましたが、見事に復活しエンターテイメントとしても優れた映画を作るだけでなく、私達にとって重要なメッセージも伝えてくれています。

 

 

「オールド」はネット配信も始まっており、TSUTAYAなどでも借りて鑑賞でき、ホラー要素はありますが、それほどどぎつくないので、多くの方に見て頂きたいです。