我が女神と出会った運命のあの日から気づけばもう8ヵ月。
出会って間もないころの常に脳内でアドレナリンが暴発しているような激烈な恋のような感情は次第に収まりつつあり、月に一度ほどお目にかかる前は大変にときめき、お目にかかった数日後はまたしばらくお目にかかれないことの寂しさ悲しさにしょんぼりとすることもあるけれど、それ以外の日々は平常運転で過ごせるようになってきた。
なんか寂しいようなつまらないような気もするが、地に足をつけて過ごせるのもまた悪くない。次回お目にかかる予約をしさえすればまたあの沸き立つようなときめきが戻ってくるのだから、切り替えができていて便利ともいえる。
思い起こせば我が女神と出会ってからの数か月は何も手につかなかった。もちろん仕事はちゃんとするが、帰宅後にすることと言えば録画のアニメを見たりバラエティー番組を見たりくだらないYoutubeを延々と見るくらいだった。
それも楽しくて見ているのならまだいいけど、常に女神のことを考えているので気もそぞろで、本気ではまりこむでも楽しくて仕方ないでもなく、寝るまでの時間をつぶしているだけだった。
そんな状態だから休みの日は極力出かけるようにしていた。時間の流れを遅く感じる一人で過ごす時間をいかにつぶして、次に我が女神に会うまでの時間を体感的に短縮することばかりを考えていた。
お目にかかった後は、共に過ごせた夢のような時間からまだ3日しか、1週間しか、10日しか経っていないと、次にお会いできるまでの時間の長さに絶望した。
もちろん今だってその気持ちはなくないけど、お目にかかった後の数日が過ぎれば日常生活に集中できるようになった。
そんな風に正気になってまず思ったのが、太った! と言うことだった。
お目にかかれない時間のストレスからかほかに気持ちを向けるような楽しみがなかったからか、家にいるとついつい食べてしまう。休みの日は朝から晩まで食べ物のことを考えているし、仕事の日は帰宅が遅くても寝る直前まで食べて飲んでしまう。
さらに仕事が以前ほどは肉体的にハードではないし、シフトの関係で夜遅くの帰宅が多くなり食事時間が遅くなった。多分そのせいで徐々に太ってきていた。そのことには気づかないわけじゃなかったのに、恋みたいな感覚で普通の精神状態じゃなかった私はそれをスルーしていた。
問題は太ったことだけではなく、我が女神と会っているとき以外には友人の会食ぐらいにしか楽しみを見いだせず、自分一人でなにかすることを楽しいと思うこともなくなっていた。以前は図書館から借りた本を読むだけでも充分に楽しく過ごせていたのに。
これじゃあいかん!
しかしやはり私の人生は我が女神を中心に回るべきでもある!
と言うことで筋トレと株の勉強を日常の優先事項に取り組むことにした。
月に一度きりとは言え、我が女神の隣に並んで歩かせていただくこともあるのだから、これ以上醜く太るわけにはいかない。年齢差は埋められないのだから、せめて体型だけでも気を付けるようにせねば。
そして株取引は、うまくいけば我が女神にお目にかかる回数を増やせるのだから、この上ない最高の趣味と言える。
そんなわけで最近は出勤前に筋トレしたり株の勉強をするようになった。夜もやればいいんだけど、仕事の後に酒を飲むのが人生最大の楽しみだし、飲んでしまったら勉強や運動をする気にもなれない。それならさっさと寝て早く起きていろいろやったほうが集中できるしはかどる。
かつては次の日の起床時間を逆算してできるだけ遅くまで起きて、出勤前はぎりぎりの時間まで寝るのが普通だったが、早く起きて色々することの楽しさに驚いている。出勤時もふた駅前で降りて好きな音楽を聴きながら歩いて向かうとテンションが上がって仕事にもより気合が入る。
本当に我が女神のせいで私の人生はどんどん前向きに、良い方向に向かっている。たとえ次しばらくお目にかかれないとしても、万が一引退されて二度とお目にかかれなくなったとしても、前向きに変わった私の人生は戻ることはないと思う。
今夜も我が女神に感謝を。