量子ゆらぎと不確定性|サイポロジー(6)

こんにちは。

GOLDEN KIDです。

再度、カルロ・ロヴェッリ著「すごい物理学講義」より引用させていただきます。

したがって、量子力学が発見した世界の三つの側面は、次のように要約できる。

〇粒性。ある物理学的な系のなかに存在する情報の総量は有限であり、それはプランク定数ℎによって限定される。

〇不確定性。未来は過去から一意的に導き出されるものではない。きわめて厳密な規則に従っているように見える事柄も、現実には統計的な結果にすぎない。

〇相関性。自然界のあらゆる事象は相互作用である。ある系における全事象は、別の系との関係のもとに発生する。

引用：カルロ・ロヴェッリ著「すごい物理学講義」

前回は、量子力学が発見した三つの要素である「粒性・不確定性・相関性」の内、一つ目の「粒性」について見ました。

私たちが通常考える「時空」は、連続的で無限に続くもの、正確に言えば、連続的で無限に続くと感じられるものでしたが、「量子的な時空」は、粒状（離散的）で有限なものということでしたね。

そして、二つ目の「不確定性」について見ていくと、先ず、私たちが通常考える時空、いわゆる古典力学では、例えば、今時速100キロで進んでいる電車が、時速100キロを維持すると仮定して、1分後どの位置にいるか知ることができます。

つまり「確定的」であり、上記引用の言葉を借りれば、「未来は過去から一意的に導き出されるもの」となります。他に星の運行などもそうですね。

一方、量子的な時空、いわゆる量子力学では、例えば、あくまで例えばですが、今時速100キロで進んでいる電子がいるとして、その電子が1分後どの位置にいるかは確率的にしか知ることができません。

というより、そもそも今時速100キロで進んでいる電子がいるとしても、その電子の位置を正確に把握することはできません。逆に、電子の位置を把握すると、今度はその速度（運動量）があやふやになると言います。

つまり「不確定的」であり、上記引用のとおり、「未来は過去から一意的に導き出されるものではない」となります。

そして、このように粒子の位置と運動量、他には時間とエネルギーなど、その両方を同時に正確に測定することはできないという原理を「不確定性原理」と言います。

なお「不確定性」には、二つの側面があると言います。一つは、観測による不確定性であり、もう一つは粒子そのものが持つ不確定性です。

一つ目の「観測による不確定性」は、量子力学が発見した三つの要素の内の一つである「相関性」と関係してきますが、電子など非常に小さな粒子は、観測（測定）によって少なからず影響を受けるため、正確な測定ができないというものです。つまり測定系と被測定系との「相関性（相互作用）」によって、結果に誤差が生まれるのですね。

二つ目の「粒子そのものが持つ不確定性」は、いわゆる「量子ゆらぎ」と呼ばれるものです。量子ゆらぎは、観測と関係なく、粒子そのものが持つ物質的性質のことで、このゆらぎのために正確に測定できず、確率的にしか把握できないと言います。

この量子ゆらぎ運動と、古典運動の違いは、形而上学的素領域理論の提唱者である保江邦夫著「Excelで学ぶ量子力学（CD-ROM付）」に掲載されている図を見ると、分かりやすいと思います。