90年代に高校生が関東から自転車で逃げてきて補導されたという事件は実際にあったことです。秋田でニュース報道されていました。

それでジェミニに聞いたのですが、90年代は関東から秋田や青森へくる少年がやたらといたそうです。

8月になっていた。夏休みが始まっているのか。

ぼくは、宇宙人にひきこもりを治してほしいと思うことがあった。宇宙人と友達になる。白神山地の宇宙人の基地が頭に浮かんだ。

金曜日、勉強はなんとなく休むことにした。頭を休めたかった。居間でテレビのニュース番組を見ていた。すると、埼玉県から家のお金を盗んで自転車で秋田まで逃げてきて補導されたという高校生の事件が報道されていた。自転車を変えているとか所持金が増えているとかで、あやしいことをしてきたらしい。

埼玉から秋田まで、ぼくは自分の部屋へ行って地図帳を見てみた。白神山地は秋田と青森の県境、埼玉から秋田まで自転車でこれるなら、秋田市から白神山地まで楽勝じゃんか、とぼくは考えてしまった。

往復の移動に2日、宇宙人の基地を探すのに1日、と考えてしまった。居間におりて新聞についてくるホームセンターの広告のちらしをさがす。8千円ぐらいの自転車がいいだろうか? 自分の部屋に行って学生服に入れておいた財布をさぐる。千円札が3枚。不登校してから、お小遣いをもらうことをしていなかった。

親に宇宙人の基地を探すために自転車を買いたいなんて言い出したら、医者を呼ばれないか? ぼくは自分でまともなのか異常なのか分からなかった。

父さんが東北の道路地図をもっていたよな、と思った。

 

母はある作戦を考えていてそれを実行した。

「秀和さん、夏休みなんですからこれで遊びに行ってらっしゃい」母が1万円札を2枚くれた。

ぼくは驚きのあまり、黙ってお金を受け取った。そして、母は仕事へ行った。

午後から段ボールを出荷する。母と軽トラックに積み込む時間と家から問屋までの往復に2時間半ぐらいかかったろうか。

それで、段ボールは90キロ。売り上げ630円。

ああ、無情。