なんとなく目が覚めた。何かのセンサーが動作したようで灯りがつく。

車の中にいるんだよな。訓練移動をしているのだよな。

何かの心配をしていたと思うが。

何か食べよう。特務部隊に着いたら、隊内売店で腕時計を買おう。ぼく、何回食事したっけ?

車が止まった。運転席にあった仕切りが下がる。

「到着しました」

助手席のロボットが言った。

車のドアが開いたので、バッグをもって外へ出る。

「ようこそ、村山秀和2士。私が特務部隊の隊長の水沢だ」

その人は3等陸尉の階級章のついた迷彩の戦闘服を着ていた。

勉強しなければいけないことはたくさんある。

本来の仕事の災害派遣のノウハウ、入浴支援、野外炊事。日本と世界各国の地理、各国語の勉強。

だが、みんなロボットで済ませられるのでないだろうか? 俺はなぜ、ここにいるのか分からなくなってきた。

コンピューターがこの特務部隊を作った真の目的は、基地の防衛であるらしい。だが、俺はどこの何の基地なのか知らない。階級が佐官に上がったら、教えてもらえるらしい。

で、新隊員が来たら何をすればいいのか? まずは災害派遣に対応するための訓練をすればいいのか? コンピューターの指示に従っていればいいのか。

しかし、シンナーだの覚醒剤、大麻といったものの薬物の使用を体験させられたのは何のためだ?

内戦に対応する部隊のため、エリート意識、優等意識を植えつける。

そして命令されれば、デモ隊の一般の市民に対しても、銃を向けて躊躇ず引き金を引ける人間でなければならない。人間性を疑われないだろうか。

現在、特務部隊にいる人間は俺だけだ。すぐ、日本各地から一般入隊の新隊員が集まってくる。コンピューターが選んだ隊員が。

特務部隊に入ってすぐ、両親兄弟といった俺の家族の隠し撮りを見せられた。そして幹部隊員が爆殺されているのは事実だと教えられた。

だが、コンピューターは人間をどう扱えばいいのかよく分からないようだった。階級を2等何士とか3等何尉と呼称すればいいのかとか。これは俺がコンピューターに指摘したことだった。コンピューターは隊員の制服戦闘服を用意することも準備していなくて、たぶん隊員が揃っても準備が間に合わないだろう。