大人の趣向で愉しむ宮澤賢治の世界 | つながっていこう~オンライン版絵本で支援プロジェクト【公式ブログ】
たかたかです。

☃️大雪荒天の北海道を脱出し、ミッキー隊のトレッキングツアーにご一緒させていただいているネパールにて、このブログを書いています。


ネパールネタを書きたい!…ところですが、まだ旅は始まったばかりなので、またの機会に。

今日は、ネパール出発の前夜、成田泊を良いことに、都内の神保町に繰り出して《黒猫朗読会》に行ってきたことをお話ししたいと思います。

本州在住仲間との朗読ユニットの公演、朗読四都MONOがたりでお世話になっている蓄音機演奏家のオヤビン佐藤さんのイベント。



朗読は女優の吉田昌美さん


吉田さんは、絵本会のあいりーんの親しいご友人!という嬉しいご縁です。繋がるね〜





この朗読会は私が細く長く追いかけている宮澤賢治の世界!

鮮やかに声で描かれ、安心してお聴きできる吉田さんの歌や朗読、そこに添える蓄音機から流れる音楽は、最初の雑音から一瞬でその世界に誘われます。音楽のチョイスはオヤビンさんのセンスがと見識を垣間見ます🥰



朗読は『十力の金剛石』『やまなし』そして『雨ニモマケズ』

「十力」とは、仏と菩薩が人々を救うために使う10種類の力のこと、
「金剛石」とはダイアモンドのこと。

石好きな賢治の本領発揮、宝石がたくさん登場する物語で、やはり賢治の真の思想、本当に大切なものは何かを説いた仏教説話でもあります。好きなお話です。


川の流れやあぶくを彷彿とする音楽から始まった吉田さんの『やまなし』は、あの有名な出だしのセリフ、
「クラムボンはわらったよ」
「クラムボンはかぷかぶわらったよ」

聞き馴染みのセリフ。
ですが、吉田さんの朗読は決まり文句ではなくてその意味が伝わり、物語が自分の手元で進行しました。香り高いやまなしが落ちて来て、それを追って私も一緒に様々な種類の石が転がる川底にいるような感覚へ。お二人のコラボの世界観にすっかり嵌められました。

主催者から、全体を貫くテーマが"鉱石"あることが語られ、
ライブ会場には、賢治の作品著作本や石に関連する本の展示の他、鉱石のコレクションや、素敵な鉱石アクセサリーがディスプレイされていました。








鉱石好きの主催者さんのお話を聞くうちに、こちらもみるみるその世界のロマンにどっぷり。

石っこ賢さんと呼ばれていた賢治でしたが、そこに注目したテーマで組まれた朗読会のその趣旨、串刺しにした会の作り方に深く心を寄せられる時間空間。

自分の大好きと大好きを掛け合わせたその伝わり方には"チカラ"とワクワクの共有がありました。

アンティークな設えにアートが映える素敵なサロンにもうっとり。









なるほど、
こんな趣向の会は大人にはピッタリ!と、その場の贅沢さと芳醇さを堪能しました。

・・・

展示してあった絵本の中に、
アーサービナードさんが英訳した本が2冊展示されていました。




ミッキー絵本探求ゼミで初めて知った翻訳の世界。

『やまなし』は『Mountain Streams』
『雨ニモマケズ』は『Rain Won’t』


アーサービナードさんらしい、大切にしたい自然や環境問題に踏み込んだ解釈が生きたタイトルだと感じます。
そして、長く日本に住むアーサーさんだが、本文はやはり何でも一つ一つ実体を明確な言葉にする英語圏向けの訳なんだと実感。


私がもしタイトルをつけるなら、
特に『雨ニモマケズ』は、「ソウイウヒトニ ワタシハナリタイ」を主題と捉えて、きっと人としての精神、あり方、生き方を彷彿とさせる訳をするだろうし、自分の思考回路がそうであるように、全体をざっくりと情緒的に表すのだろうなと思いました。

アーサーさんの訳は、
"All this is my goalーthe person
I want to become."

きっと私なら、
最後はきっと、
I want to be.にしてしまうだろうな。

でもアーサーさんの"become"には、
病床の賢治がこの言葉に託した未来が代弁されているようにも思えます。


訳本は言語の直訳では読んでもらいたい人には届かない。届けたい人に添う文化と生活を踏まえて、自分を混ぜ込んだ言葉をチョイスするが大切。それが「伝わる」条件なんだと改めて感じるところでした。

「読んで伝える」ということにもまさにドンピャと通じること❣️

『十力の金剛石』のこの絵本もとっても銅版画絵の豪華本!
おしゃれだなぁ。
またいつか手元に置きたい本が増えてしまった〜(^◇^;)💕


宮澤賢治の物語はその都度私の人生のテーマと重なり、その言葉が脳内のこだまと化すことが多々あります。

私も今年は人生の節目。
テーマにはやはり必ず賢治がいるようです。


これまで生きてこられた感謝と共に、

それを形にして伝えながら生き行きたいな

と思うネパール出発前夜でした(^^)/