アートと出会って生きるのが楽になるということ | つながっていこう~オンライン版絵本で支援プロジェクト【公式ブログ】

こんにちは!東京下町在住のあいりーんです。

突然ですが、現代アート はお好きですか?

あいりーんは、遡ること30余年前、某老舗百貨店に新設された「現代美術ギャラリー」担当社員でした。
時代はバブル期!
遠い記憶を辿ってなお、鮮烈に思い出せる数々のギャラリー展示企画。
それまで扱いの無かった作家や取引先との新規事業に、若手社員として準備期間からワクワクが止まらなかった思い出があります。

元々、学生時代から展覧会巡りが趣味のひとつだったのですが、
思いがけず「?」ハテナ「!!」衝撃に出合える現代アートの展覧会も大好きでした。

子育て中はこの、「?」ハテナ「!!」衝撃が日常生活で充足されたのでしょう(笑)、
美術展、美術館からもずいぶんと離れていました。

ヒヨコ鳥ヒヨコ鳥ヒヨコ鳥


最近はまた現代アートの展覧会へ足を運ぶようになったので、今日は先日訪れた展覧会と話題の本を紹介します。
この二つが絶妙にリンクして、しばらくは頭の中で色々なことを反芻しそうなのです。
(今回も相当なタテヨコななめになる予感)ひらめき

出かけたのは、六本木ヒルズ森タワー53階の
森美術館  MORI ART MUSEUM  (MAM)
 

 

入り口階段の吹き抜け
 
 


天井が高く、広々とした空間でこれまでもたくさんの現代アートの展覧会が開催されています。

 

これまでのポスターたち。こうしてみると、どれもビッグ企画展



開催中の展覧会
「六本木クロッシング 2022展:往来オーライ!」

 

 

2022.12.1 スタート!
2023.3.26まで

 

 


チラシ裏面にはこんな案内文があります。
「六本木クロッシング」は、森美術館が3年に一度、日本のアートシーンを総覧すべく定点観測的に開催しているシリーズです。第7回目の今回は、コロナ禍を起点に、身近な物事や生活環境、さまざまな人々がともに暮らす社会をあらためて見つめ直します。(以下略)


そう、コロナ禍はアーティストたちにも等しく大きな影響を与えていたのですね。

今回は音声ガイド付きチケットを事前にオンライン購入していました。

自分のスマホでQRコードを読み取り、
森美術館のWi-Fiを利用して
音声ガイドを利用するのは初めて。
この夏機種変したスマホにはイヤホンジャックがないので、ここでついにBluetoothイヤホンデビュー!会場に入るまでに色々初めて(笑)

 

 


作品を観て、作家紹介のパネルを読んで(逆もあり)、音声ガイドを聞いて、また作品を観て、、、撮影OKなので写真を撮ったり、、、と行きつ戻りつしながら、実に久しぶりにのんびり鑑賞。
映像作品は10~15分のものもあるので、結果、2時間ぐらい滞在したかも。

会場では、、、
4人のキュレーターが、2022年のいま考察すべき3つのトピックでキュレーションした作家の作品が展示されています。

1,新たな視点で身近な事象や生活環境を考える
2,さまざまな隣人と共に生きる
3,日本の中の多文化性に光をあてる

 

 

 

たとえば、オブジェのような木片たち。
説明がないと現代彫刻群のように見えますね。


《彫刻のつくりかた》 

AKI INOMATA 2018年―

実は小さい木片のいくつかは、実際に動物園のビーバーたちによってかじられ形成されたものなのです。

わ!ビーバーって自然界の彫刻家、建築家って本当だ!

なんて思っていると、

作家は、
ビーバーが木の堅いところを避けてかじっていたとするなら、その創作は木とビーバーの共作になるのではないか。

などと新たな視点を伝えてきますキョロキョロ

さらに、ビーバーの木片に並ぶ相似形の木片たちは、、、なんと!!びっくり
(会場でお楽しみくださいね)

 

 


人間が言う、芸術作品ってなんだろう?
ビーバーが彫るのと人間が彫るのと機械が彫るのでは、どんな違いがあるのかな?
自然の造形、営みにフォーカスしてそこに美を見いだすことは昔から行われているよね?

など、みどころ、考えどころが、次々と湧いてきて、ぐるぐる回りながらじーっと見入ってしまいました。
オモシロい!


トピックとしては、個人的に、


2,さまざまな隣人と共に生きる


に関する作品に目が向き、特に映像作品では、マイノリティとして普段見えていない隣人がくっきりと立ち現れる衝撃を感じました。

トランスジェンダーで性別と名前を変えた出演者がアーティストと共に「新しい名前」を叫ぶ映像作品では、タイトルにあるように「声枯れるまで」の生々しい音声がその前段のインタビューと重なり深く強く心に響きました。
ヘッドホンを付けて暗い部屋で観るのですが、多くの方に観て欲しいな、と思います。
作家のホームページでの作品紹介を貼りますね。

 

 

 


総勢22組のアーティスト、約120点
どれも何かしらの社会的視座を感じます。
作品を観たあとも心にモヤモヤが残るような、そんな作品も多く、そのモヤモヤが自分は案外好きなんだな、って気付きます。

美術館を後にしてもちょっと考え続けていたり。
新しく考え始めるきっかけになったり。



そうです。
今回はこの展覧会をきっかけに、あいりーんの積ん読文庫から話題の一冊を引っ張り出すことになったのでした照れ


じゃーん!

 




2022年Yahoo!ニュース|本屋大賞 ノンフィクション本大賞受賞作
『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』
川内有緒/著
集英社インターナショナル
2021年9月発行



いつもの「わたしの街の本屋さん」で見つけて「いつでも読めるように」と積んで1年たちました(笑)
2021.11.01に購入との記録が、過去ブログにも 笑い泣き

 

 


機は熟し、まさに現代アート体験とセットで一気読みしてしまいました!

〈カバー袖の説明〉
白鳥健二さん、51歳、全盲。
年に何十回も美術館に通うー。
「白鳥さんと作品を見るとほんとに楽しいよ!」
という友人マイティの一言で、
アートを巡る旅が始まった。
絵画や仏像、現代美術を前にして会話をしていると
新しい世界の扉がどんどん開き、
それまで見えていなかったことが見えてきた。
アートの意味、生きること、
障害を持つこと、一緒に笑うこと。
白鳥さんとアートを旅して、
見えてきたことの物語。


作者の川内さんは、白鳥さんや友人たちと色んな展覧会に出かけ、
とにかく「作品」について会話をします。
目の見えない白鳥さんとのコミュニケーションは主に会話です。
初めて出かけた時に、とある絵画を前に白鳥さんに説明を始めたところ、
一緒にいた友人が全く違う見方をしていたことに気付きます。

ここで「見る」ことの科学として、「脳の働き」が挙げられます。
引用
ものを見るうえで不可欠な役割を果たすのは事前にストックされた知識や経験、つまり脳内の情報である。わたしたちは、景色でもアートでもひとの顔でも、すべてを自身の経験や思い出をベースにして解析し、理解する。
引用終わり(本書p16)

また、よく知られていることとして、「人は見たいものしか見ない」ということもあります。
川内さんは気付きます。

―そう、「見えるひと」が、「見えないひと」と一緒に作品鑑賞をすると、自分の思い込みや勘違いにたびたび気づかされる。
(本書p118)
と。

同じ作品を見ても、感じ方や見方は十人十色。
まずは、ここをベースに、「何でもあり」の説明が繰り広げられ、
それをワイワイと率直に会話していく様が何とも楽しいのです。
自分が観に行った「クリスチャン・ボルタンスキー Lifetime展」の章に至っては、遡って一緒に回って感想をシェアしたくなりました。


でも、読み進めていくうちに、「アート」だけの話ではなく、
「生きること」、「共に生きること」の核心に触れる言葉がたくさん登場するのですメモ


「六本木クロッシング2022」の3つのトピックの2番目


2,さまざまな隣人と共に生きる


まさにこれです。

あぁ、この作者たちの行動自体が自分にとってアートだなぁ。
このタイミングで読めて良かったなぁ。

図版も親切で楽しいなぁ。


と幾度となく思いながら付箋を付けまくってしまったあいりーんでした。
 

 

ふふふ、仕掛け付きのカバーを外した中身もこんなに素敵!
 

本書の第7章の中、
「介護だってアートになる」で紹介される《アート・ママ》シリーズのアーティスト折元立身さんは
「六本木クロッシング2022」にも登場しています。すごく心に残る多幸感あふれる映像作品でしたよ。




興奮冷めやらぬ状態で、色々お伝えしたいことがたくさんですが、
展覧会は始まったばかり。
是非、『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』とセットで楽しんで欲しいなぁ~・・・
読んでから観に行っても、観てから読んでも、それぞれが3倍くらい膨らむ体験になりますよ!


出版社の特設サイトでは、動画がいくつか見られるのですが、
こんな会話に揺さぶられました。
(あいりーんのアートが好きな理由も、コレだ!!)
 

川内さん 「アートと出会ってどう変わったと思う?」

白鳥さん 「ひとことで言うと、、、生きるのが楽になった」

 

 




そうそう絵本の紹介もね!
さまざまな隣人にまずは気づくところからキラキラ星電球

『どんなかんじかなあ』
中山千夏 ぶん
和田誠 え
自由国民社 2005年

みえないってどんなかんじかなあ
きこえないってどんなかんじかなあ

・・・・・・ひろくんはともだちのことを想像します
想像力ゆたかなひろくん自身は・・・・・・
 

 

クローバークローバークローバークローバークローバークローバークローバークローバークローバークローバー
今日も長文にお付き合いくださり、ありがとうございます🌿


では、またねー爆笑爆笑