くまのプーさん プー横丁にたった家  / Guest Writer : まみさん | つながっていこう~オンライン版絵本で支援プロジェクト【公式ブログ】


子どもの頃から、どちらかと言うと『なぜなに科学辞典』とかが好きだった私ですが、『くまのプーさん プー横丁にたった家』だけはとても好きで小学生の頃から何度も読みました。

何しろ会話が面白いのです。間が抜けていて、リズミカルで。
あちこちに少しずつ書かれている挿絵は、まるで動いているかのような、そして光を感じられるような素敵なペン画です。
岩波書店から出版された厚みのあるこの本を長く持っていたのですが、何度目かの引っ越しで失い、しばらく忘れていました。

2019年に縁あって、「そういえば、まだ売っているのかな」とサイトを見たら、ありました。取り寄せると1962年第1刷、2019年第56刷版です。訳者のことばは1998年になっています。石井桃子さんは改訂の度に言葉を少しずつ変えていたそうです。

 


『クマのプーさん プー横丁にたった家』
A・A・ミルン (著), E.H.シェパード (イラスト), 

A.A. Milne (原著), 石井 桃子 (翻訳)
岩波書店; 改版 (1962/11/27) 発売日 : 1962/11/27

 

 

2019年の縁というのは竹内美紀さんとの出会いです。エッセンシャルマネジメントスクールを立ち上げるゼロ期の時に同じチームでした。そして竹内美紀さんが書かれた児童文学翻訳論を知りました。

 


『石井桃子の翻訳はなぜ子どもを引きつけるのか

ー「声を訳す」文体の秘密』 

竹内美紀著 ミネルヴァ書房 2014年04月20日


児童文学の翻訳者としての石井桃子の言葉を、他の訳者との対比や児童文学が研究された文献を参考に、なぜその言葉を選んだのかの本質に迫っていて、とても興味深く読みました。


心に残った部分たくさんありますが、ひとつの例を引用します。


『石井は、100歳を前にしたインタビューで 「プーとの出会いと戦争がなかったら、私の人生はずいぶんちがっていたのではないかと思います」 と述べ、子どもの本の仕事に従事した一因に戦争という時代を挙げている。
(中略)
そして、この石井の反戦思想は、ドラゴンの"reluctant to fight"に敏感に反応した。たとえ自分が不利な状況に追いこまれようとも、あくまで戦いを避けようとするドラゴンの非戦の哲学に共感し、その思いを、石井は「おひとよし」という訳語に込めた』



こうしてくまのプーさん プー横丁にたった家』A・A・ミルン作 石井桃子訳の本は再び私の本棚に並んでいます。


「プー横丁にたった家」の最後の文を引用します。


『そこで、ふたりは出かけました。ふたりのいったさきがどこであろうと、またその途中にどんなことがおころうと、あの森の魔法の場所には、ひとりの少年とその子のクマが、いつもあそんでいることでしょう』


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今日のスペシャルゲストは この絵本会がよちよち歩きだったころから、

サポートなどで応援してくださっていた増本眞美さん。
オンライン絵本会の代表、ミッキーさんとの友情と信頼!

またもう一つのストーリーがあったのですね。

編集部