二月堂へ
した帰り、
駐車場近くにある
菓匠千壽庵吉宗に行ってみた。
菓匠千壽庵吉宗は、
東大寺の近くにある
創業88年の和菓子店。
中でも、
生わらび餅は
1年を通して人気があり、
千壽庵吉宗の
フラッグシップとなっている。
店内では
お持ち帰り用の和菓子が
色々並んでいるだけでなく、
横には、カウンターと
お座敷の喫茶スペースも
設けられている。
縁側の庭の見える場所へ。
全てにおいて、
昭和の匂いがプンプンする場所。
子供の頃の記憶が、
建物からの匂いと共に蘇る。
わらび餅の
食べ比べのセットをチョイス。
わらび餅の背景に、
和風の庭がよく似合う。
向かって左が「純本生わらび餅」、
右が「生わらび餅」。
色の違いが見て取れる。
繊細な風味を感じるために、
最初はきなこのかかっていない部分から
食べるよう店では勧めている。
まずは、純本生わらび餅。
わらびの根の澱粉だけで作った
最上級のわらび餅。
他の澱粉や化合物を一切使用せず、
水と砂糖のみを加えてるくる。
つまり十割わらび餅である。
匂いを嗅ぐ。
独特の生臭いような香りを感じるが、
口に入れて鼻から抜くと、
これがわらびの匂いなのかと
感じることができる。
クッションにもなっているが、
この包装のわらび餅が
「生わらび餅」である。
先代庵主自ら古文書を紐解き
再現したわらび餅である。
生わらび餅。
天日干しした鹿児島県産の甘薯澱粉と
「本わらび粉」を独自の配合で
時間をかけて練り上げ、
一晩寝かせて
毎朝仕上げているそうだ。
こちらはわらび以外の澱粉も
混ぜてある。
純本生わらび餅のように
十割ではないため、
わらび独特の香りがなく、
クセはほとんど感じない
一般ウケのいい風味である。
しかしそれだからこそ、
わらびそのものの風味を
感じるのは難しい。
きなこをつけると、
甘さが増し、
わらび餅そのものの風味がボケる。
両方とも餅の性状は同じであり、
そばのように繋ぎの有無により
咀嚼感が大きく変わることはなく、
その違いは無いようだ。
とてもプルンプルンであるが、
箸上げではちぎれることなく
コシはある。
子供の頃は春先になると
山へゼンマイやわらびを
採りに行ったが、
最近は全く行かなくなった。
山菜は甘辛く甘露煮にしていたため、
わらびそのものの風味を知らなかった。
純本生わらび餅を食べて
わらびの風味に触れられたのは
良かったものの、
個人的には「生わらび餅」の方が
食べやすいと感じた。