今日の月はかなり丸いね。

もうすぐ満月だから?
それとも欠けはじめたんだっけ…

昨日もおとといも、柔らかなこの岩に腰掛けて、見上げていたはずなのにな。


何故こんな時間に灯をつけたんだよ?
月がこんなに明るいのにさ。


川向こうに浮かび上がったオレンジの灯のことをあれこれと。

昨日の月、おとといの月のことは思い出そうとする気なんてなかったけど。

背中を向けて考え出してみようとする。
さっき見ていた月の形さえわからなくなりながら。


そしてきっと明日は、月が眩しすぎたって、手を上げる前から話し出すんだよね。


レンガ造りのような壁に描かれた大きな船の絵。

その船の乗り込み口がちょうど建物の入口で。

中では少し前に、話題の映画が始まったらしいのに。

船の上にたって、青空が、曇りだすのを待ってるんだよね。

スクリーンの中では、枝や葉っぱが激しく揺れていて、その木々の中で、鳥たちが静かに羽を休めてる。

いつの間にか客席も森の中。

青空のずっと向こうで風がかわっているとでも言うの?

みんな船に乗っていることなんか、すっかり忘れてるんだよ。
音が聞こえてくる。
なんかいいなぁ。

行ってはいけないなんて、誰にも言われてないのに。

あ、そう思えば、あれを忘れていたんだなんて、突然思い出した様につぶやいて。

小川に落ちたボール。弾むこともなく。

水から半分顔を出して流れて行く。

大して暑くもなかったのに、わざわざ転がって、遠ざかる流れに飛び込んだんだ。