うれしい三日月手さげザックから少しだけのぞかせて、持ち運ぶ。三日月だと気付かれないよう怯えながら。中になんとか入る大きさなんだから、隠して持ってけばいいはずなのに。うれしそうにまるいまるい顔をして。でも、うつむき加減で目をそらせたまま。
細長いレストランみんな横を通り抜けながら、お皿の上に視線を投げる。薄ら笑いを浮かべながら上へと流す。ここに何故いるのかももう考えれず、口の中を風がふく。斜め向こうのあいつはなんて哀れなやつだろう。何も気付く事なく、フォークを運ぶ。そうやって、慰めて涙をこらえてた。ほんとはうらやましいくせに。奥の壁にかけられた、夏のアルプスの大きな写真。白い頂きと色鮮やかな花たちは、見る度に表情を変え店を訪れるみんなの目を奪う。
連なる天然水川で遊ぶのは楽しいよな。勿論水がきれいなところ。海も楽しいけど、あの塩の何とも言えないベタベタ感がちょっとね。少しだけ山の奥の方に入って出合う、小さな小さな沢の水。想像しただけで涼しくなる。