傘をもっていたのに。
大きな木の葉の下にいたのに。

何にもならなかった。
冷たい身体で丸くなっているしかないのか。

そんなに長かったわけじゃないのに。
渦をまいていた葉っぱを握りつぶして。

眠ったふりした流れに投げ込んだんだ。

もう見えなくなったけど、まだここに残っている。

あわてて拾い上げようとしてももう拾い上げることは出来ないよ。
拾い上げたいとは思わないけど。

流さなければ、このカップの水の上で膨れ上がって、ずっと揺れてたはずだよ。

でも、みてごらんよ。今度は残った水に風が吹きつけて、無表情に大きく揺れてしまってる。

そして、水は机の上で飛び散って、また別な葉っぱを育てるんだ。
青く白い屋根の向こう側に立つ樹々たちはずっと黙ったまま。

みんな流れてしまった後には、赤い石が転がってるだけ。

それでもそこにいるのはなぜなの?

動けないから?
動かないから?

もうすぐすれば降り出すよ。
きっと。
すぐに上がってしまうだろうけど。
でも。
きっと。