二件目の弁護士相談の後で行った司法書士事務所での会話で思い出した事があるので書いておく
司法書士が「お二人(私達夫婦)が悪者にされている可能性はありませんか?」と言ったのだ
私が「ええまぁ、それはあります。誰が発信源かはお分かりですよね。」と答えると司法書士はすぐに理解してくれた
この時、書いたようにジジイは
「長男が勝手に家を売ってその金を全部取りやがった」と周囲の人間に言いふらして歩いた
それ以外にも私達の事をとにかく悪く言いふらして回っている
そうは言ってもジジイの行動範囲は狭いので限定的ではあるのだが、一番許せないのはその中に前妻が含まれているという事だ
当時は喧嘩ばかりしていたくせに、今は時々連絡を取り合い私達夫婦の悪口を言っているのだ
もちろん全て事実とは異なり、ジジイに都合の良い作り話を吹き込んでいる
何故それが分かるのかと言うと、当然の事だが私の方がジジイより交友関係が広いので、それなりの情報源があるのだ
前妻が娘に会いに実家へ来る事もあったが、娘自身が実母をかなり嫌っているので来ても会う事はなく、顔を合わせるとすぐ二階へ駆け上がっていたそうだ
当然、私はこの非常識な行動に激怒していたが、それよりも怒っていたのは生前の母である
特に今の妻が来てからは施設に居ながらもジジイを怒りまくっていた
やはり母も女なのだ
ジジイの女性問題で散々泣いて来た母だ
怒り方は本当に凄かった
母の死後、弟が母の日記を妻へ渡した
妻はそれを読んで泣いていた
若い頃から時々付けていたその日記の中には母の悲惨な体験が書かれていた
コロナ禍で施設の面会は禁止になったが、妻と母は毎日電話で繋がっていた
母は朝昼晩かけて来て長話をするので、さぞかし大変だろうと思いきや、妻は楽しそうな顔で何時間でも付き合っていた
仕事を終えて帰ってもまだ電話をしていることがあり、短気な私はつい「もういい加減にしろ。」と母を怒ってしまうこともあった
その日も仕事を終えて帰宅した夜の事だった
妻はいつもスマホをスピーカーにして家事をしたり横になったりしながら母と話していたので私にも声が聴こえる
そして妻の話によるとその一度だけだったそうだが、母が若い頃何度も堕胎したと話したのだ
妻はショックを受けたようで「どうしてそんな酷い事したの?」
母は「お姑さんに言われたからよ。お姑さんの言う事は聞かなければいけない時代だったの。」
そして私に向かって「あなたにはお兄さんやお姉さんがいたのよ。」と言った
電話を終えて、妻が私に訊いた「本当かな?」
「うん、若い頃から言ってた。産んでおいてくれたら俺一人でこんな苦労しなくて済んだのにな。」
堕胎の事はそれっきり言わなかったそうだが、母の姉とジジイが関係を持っていたという事は繰り返し話すようになった
妻がそれを聞いた最初の頃は、とうとう認知症が進み始めたのかと心配したそうだ
しかし私は高校生の時から度々聞かされていたのでそれを話した
「ジジイと伯母ちゃんが下着姿で二人でいる所を実際に目撃したって言ってたぞ。」
それに加え、母はジジイが社員旅行へ行く度に体が震え熱を出し寝込んでいた事も記憶にある
母の日記にはその当時の日付と若い字で辛い心情が書かれていた
男の私にはわからない母の辛さが妻には理解できたのだろう
ジジイの女癖の悪さは子どもの頃から認識していたが、女性にとってこんなに深刻な事なのかと、恥ずかしながら昭和オヤジの私はこの歳になって妻のおかげで初めて気付かされたようだ
若しくは、ジジイのせいで私の感覚が子どもの頃から麻痺していたのかもしれない
これも冗談交じりに子どもの頃から考えていたのだが、近所に住んでいた年下の女の子が私とよく似た顔をしていたので、ジジイの子ではないかと実は今でも疑っているのだ
彼女は同じ町の中で結婚し生活しているので、勤め先が変わっていなければ居る場所はわかる
妻にこの事を話すと「DNA鑑定すれば?妹って分かったら嬉しいんでしょ?」
妻がそんな言い方をするのには理由がある
日頃から私が「まともな兄弟が欲しかった。」と話しているからだ
妻にも弟がいて、今回の我が家での出来事も時折相談しているようだ
他にも今の時代なので些細な事や昔話などファミリーチャットが盛り上がる事もあるようで、それを羨ましいと思う時もある
私の弟が軽度の知的障害を持っているだけならまだ良かったのだが、あそこまでバカだとやり切れない気持ちになる
それに関しては母の責任が重い
ジジイは昔から弟の事を嫌い無責任であったが、母は逆に弟を甘やかし過ぎた
障害が本当であっても育て方次第ではもう少しましな人間になっていたはずだ
この2月からの騒動でずっと心を痛めていた妻がふと呟いた
「変な事聞くけどさ、娘がおとうさんの子っていう可能性は?」
さすがに驚いた
前妻との生活を振り返って考えてみても、「いや、それはない。」
「本当に?だって、あなたは仕事で忙しかったんでしょ?」
「あの二人は喧嘩ばかりしてたんだ。それはないと思う。」
「それはあなたの前だけでだったかもよ。」
妻は時折、私が全く想像出来ない変化球を投げて来る
しかしよくよく話を聞くと、弁護士に言われたジジイと娘の疑惑について一番心を痛めているようで、もしも娘が私ではなくジジイの子であれば離さないのもわからなくもないと、妻が自分自身を納得させたくての発想だった
それに母が「おとうさんは娘を欲しがっていたのに、私が男の子しか産まなかったから、孫娘ができたとたん離さなくなったの。」と何度も口にしていたらしく、その事も妻の突拍子もない発想に繋がったようだ
そういえば娘が生まれて病院へ駆け付けた時、私より先にジジイが娘を抱いて涙を流していた
当然腹が立った
娘が実は妹?
そう考えると心底気持ちが悪い
仮にそうだとしてもこの年齢の娘を離さないというのは、当然異常である
妻の豪快な変化球を受けても、ジジイへの怒りは治まるはずもない
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次回は馬鹿馬鹿しい話ですが、ようやく妻と爆笑出来た事を書きます