1225 吉田健一「おでん屋」 | 文学つぶやきアーカイブスPART2

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その日手に取った本の、印象に残った文章を書き留めています

昔の東京のおでん屋で飲むのは楽しいものだった。(中略)食べたくなれば、豆腐の一つも頼んで、別に懐と相談する程のこともなかったから、夜は長々と更けて行った。金をかけずに豊かな気持になれたので、第一、豊かな気持になるのに金をかけなければならないというのが間違っている。(吉田健一「おでん屋」光文社文庫)