在る春の日曜日、
藤紫色に誘われて
京都・宇治の平等院にやって来ました。
ところで僕は
枝垂れの植物がとても好きです。
梅や、桜や、柳も…
なんだかそっと寄り添ってくれるようで
とても愛おしい氣持ちになります。
青が好きな自分にとって
その色合いが紫に傾くと癒しの色、
宇賀へと通じる心の色になります。
だから藤の花がとても好きなんです。
樹齢300年と言われる平等院の藤。
雨のせいで空は薄暗いはずなのに
視線をそっと落としてみると、
眩いばかりの藤紫色の光が
明るく僕を包んでくれました。
そして甘い香り…。
優しく触れてみると
まるで生まれたての赤ちゃんの
グーをした手のようで。
ぐしゃぐしゃにしてしまいたい衝動と
大切に、大切にしたい衝動が
同時に押し寄せてきて、
僕に愛おしさの意味を教えてくれました。
僕には宇治に来ると想い出す二人がいます。
今から10数年程前、
とても仲良くしていた夫婦がいました。
私立高校で数学を教えながら
水泳部の顧問をする彼と
非常勤講師として働く彼女、
絵に描いたような美男美女の夫婦でした。
そんな二人がある日、
宇治に素敵な一戸建てを立てて
そこによくお邪魔していたのです。
二人は結婚当初から
一生懸命に不妊治療をしていました。
何度も何度も挑戦しては
ボロボロになっていく二人を
ただ応援しながら
見守るしかなかった自分の元へ
離婚したと連絡が入ったのは2年後のこと。
「次に結婚する男性と必ず子供をもうける」
そう言って彼女は
家を出て行ったそうです。
それからしばらく経って、
新天地でやり直してみることにしたと
彼から連絡があって、
二人で送別会をすることになりました。
「元気で。頑張れよ!」
そう言って送り出そうとする自分に
彼は言いました。
「ことのはくん、今、しんどいやろ?
俺にはわかるよ。」
確かにその時、
僕は苦悩の中にいました。
お互いに何ができる訳でもないけれど、
それでも僕はただその言葉だけで
とても慰められたのです。
平等院鳳凰堂には
阿弥陀如来坐像を取り囲むようにして
52躯もの雲中供養菩薩像が
壁面を賑わわせています。
画像はネットよりお借りしました。
味わい深い人生に。
訪れる度ごとに
寄り添ってくださる菩薩さまを
見付けてみるのも楽しいですよ。(*´꒳`*)
ミュージアム鳳翔館でもじっくり鑑賞できます。
この日の僕は天蓋を捧げ持つ
こちらの菩薩さまにとても癒されました。
画像はネットよりお借りしました。
花びらに乗る
まんまるの雨粒がふたつ。
二人を今も懐かしく想い出します。
荒井由実 / 雨の街を
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