月の引力 〜豊川稲荷・中編のつづきです。
今を遡ること、およそ700年前。
「時世を救う」という熱い信念の下、
二度も中国(宋)に渡られた寒巖禅師の元に、
吒枳尼眞天さまが現れ、こう仰ったと言います。
「われはこれ吒枳尼眞天なり、
今よりまさに師の法を護するに
この神咒(真言)を以ってし、
また師の教化に帰服する者を守りて、
常に安穏快楽ならしめん、必ず疑うこと勿れ。」
また、一説によると、
吒枳尼眞天さまへの信仰心を
一度(ひとたび)なくしてしまったが最後、
その生涯で二度と吒枳尼眞天さまのご神徳に
与ることは叶わないのだそうです。
信仰の世界は信じる力が試される世界です。
日々、吒枳尼眞天さまと
お話させていただいている中で、
僕は“信じること”の尊さを
学ばせていただいているように思います。
折に触れ、吒枳尼眞天さまは、
… お前の祈りの力は強い。
そう仰ってくださいます。
それはきっと僕が何者をも疑わない、
疑うことを知らない能天気な人間だからだと
自分では思っています。(^▽^;)
危なっかしくて、目が離せなくて…。
それでも疑うことを知らない
真っ直ぐで素直な信仰心こそが、
神仏の心に届くのだと思うのです。
ほとんど毎晩、
線香をあげながら手を合わせて、
吒枳尼眞天さまとお話しするひとときが、
現実世界に生きる今の自分にとって、
どれほど大きな癒しになっていることでしょうか。
そのことを想像するだけで、
思わず目頭が熱くなってきます。
ところで、奥の院からの帰り道、
豊川稲荷の境内に池がありました。
「おっ!鯉もいるし、亀もいる!!」
そう思って、橋の上から、
池を覗き込んでいた、その時です。
ドドドドドドド…!!!!!
足元の橋の下から、たくさんの鯉たちが
一列の群れとなって泳いで来たかと思うと、
何匹もの鯉が水上に浮き上がる程の勢いで、
バチャバチャバチャバチャ…!!!!!
僕の目の前でトルネードのように旋回すると、
次の瞬間、何事もなかったかのように、
思い思いの方向へ泳いでいきました。
余りに突然の出来事で、
僕はただ愕然と見ていたのですが、Σ(・∀・;)
水面に残された波紋と光の中に、
一瞬、“宝珠”が見えたような気がしたんです。
いや、例え綺麗に見えなくとも、
鯉たちが一所懸命、
僕に“宝珠”を見せようとしてくれたのだと。
どんな願いも叶い、欲しいものは何でも
作り出すことができるという“宝珠”。
吒枳尼眞天さまが、
そんな自らの大切な宝物を
僕に見せてくださったのだと。
宇多田ヒカル / あなた
豊川稲荷への参拝を終えて、帰宅した僕に、
神棚の神様はこんなことを仰いました。
… お前はやはり月に還るのだな…。
… 月の引力は今後、ますます大きくなる。
お前だけではない、皆にとってだ。
それが令和という時代だ。
… 月の引力を味方に付けなさい。
… 月の引力を味方に付けるとは、
即ち、仏さまの心に近付くことだ。
… 仏さまの声に耳を傾けなさい。
何者でもない僕の元にも、
月の光は分け隔てなく届けられます。
ただそれだけのことが、
こんなにも有り難く思えるなんて。
その優しい光の中に、
僕は吒枳尼眞天さまのお心を感じています。






