『Mystic Journey2・長崎編』のつづきです。
小春日和の爽やかな朝、
はちみつ君の案内で住吉神社にお参りしました。
泊まっていたホテルから歩いて数分。
平日の朝ということもあって、
長閑な商店街の風景を抜けた先に、
その神社はありました。
淡い空の色合いがとても印象的で、
まるで雲の上のようです。
そして、社殿の前には、デデン!!
… おはよう。よう来たね〜。
やはり長崎の狛犬くん達は愛嬌たっぷり。
にっこり笑って歓迎してくれて、
とてもほのぼのとした気分になりました。
境内の御手水を見ると、
珍しいことに猫(ライオン?)の口から
水が注がれています。
古代エジプトでは、
神の使いとして大切にされた猫。
この後、実際、猫の道案内によって、
神様から、ある事実を
知らされることになろうとは…。(◍´ಲ`◍)
さて、御手水で身を清めたところで、
神様にご挨拶しようと社殿の方へ近付いて行くと、
左手から黒猫くんが、
伸びをしながら歩いて来ました。
ここからは、前回の中国語訳に続いて、
猫語の日本語訳に挑戦したいと思います(笑)
黒猫くん:ことのは、“桜田”、よく来たな。
待ってたぜ。
※“桜田”とは、行動を共にしてくれているお稲荷さんです。
(“桜田さん”との出会いのエピソードはこちらです。)
てっきり黒猫くんが
歓迎してくれるのかと思いきや…。
「おや?」
今度は右手から三毛猫さんがやって来て、
なにやらコソコソと話をしています。
黒猫くん:段取り通りによろしく頼むぜ。
三毛猫さん:はい、承知してますよ。
そうして三毛猫さんは、
ちょうど真ん中の位置に低い姿勢で身を屈め、
黒猫くんは、僕と”桜田さん”を
軽く一瞥した後、去って行きました。
三毛猫さん:
ことのはさん、“桜田さん”。
ようこそ、住吉神社へおいでくださいました。
お待ち申し上げておりました。
さあ、どうぞ、ごゆっくり
神様にお参りなさってください。
「どうもありがとう。」( ^ω^)
不思議な物語の始まりの気配を感じつつ、
僕とはちみつ君が社殿に近付いて行くと、
三毛猫さんは逃げるでもなく、
ゆっくりと遠ざかって行きました。
二礼二拍した上で、
「神様、長崎は本当にいいところですね。」
そんな他愛ない話をして、
感謝の気持ちをお伝えした後、
ふと視線が気になって、横を向いてみると…。
じーーーーーーっ。
「っ!!!」(。 ̄□ ̄)ツ
今度はブチ猫くんが
社殿の角からこちらを見ています。
「…ん!?どうした???」
僕と視線がぶつかったこと確認すると、
ブチ猫くんはスクッと立ち上がって、
社殿の前を横切って行きます。
そして、社殿の反対側の角まで行くと、
そこからスクッと顔を出して、
また無言のまま、じーっとしています。
「絵馬を勧めてくれているのかな?」
とも思いましたが、社務所は閉まっています。
なんだろう?と不思議に思っていると、
ブチ猫くんの奥に立つ
真っ赤な鳥居が僕の視界に入ってきました。
「あっ!お稲荷さんだ!」(◍•ᴗ•◍)
そう思って、鳥居の前まで行くと、
なんと!さっきの黒猫くんが振り返って、
じっとスタンバイしています。
まるでピタゴラスイッチみたいな
猫たちの華麗な連携技に翻弄されつつ、
黒猫くん:ほら、こっちだぜ、ついて来な。
そう言うが早いか、
黒猫くんはスタスタ奥へ歩いて行きます。
「えっ!?待ってくれ〜〜ぃ!!」(○´Д`)
僕は友人のはちみつ君がいることも忘れて、
夢中で黒猫くんの背中を追い掛けました。
そうして辿り着いたのは、真っ赤なお社の前。
どうやらこちらのお稲荷さんが、
僕をここへ呼んでくださったようです。
わざわざ猫に案内させてまで、
僕を呼ばれるくらいですから、
何か特別な話があるに違いありません。
(゜Д゜)はぁ…。
僕は呆気にとられながら、
その扁額に書かれた文字を読み上げました。
「『祐徳住吉稲荷』…。」
そこで、ハッとしました。
「も、もしや…。」( ゚ ▽ ゚ ;)
お稲荷さんが話し出されるより先に、
「も、もしかして…、
(太宰府の石穴神社で出会った)
“桜田さん”の生まれ故郷は祐徳稲荷ですか?」
すると祐徳住吉稲荷さんは、
… いかにも。
… よく来たな、ことのは。
“桜田”がいつも世話になっておるな。
ありがとう。感謝しているぞ。
そう仰いました。
“桜田さん”は僕の背中に隠れて、
モジモジ恥ずかしそうな気配を漂わせています。
いやはや、僕はてっきり石穴神社が
生まれ故郷だとばかり思っていたのですが…。
やはり眷属というのは、
いろんな所で修行を積む必要があるようです。
『可愛い子には旅をさせよ』
お社の祐徳住吉稲荷さんからは、
そんな“桜田さん”への深い愛情と共に、
僕への厚い信頼の念が
ひしひしと伝わってきます。
人間もお稲荷さんも同じように、
やっぱり故郷って恋しくて、
ありがたいものなんですよね…。
じ〜んと胸を打たれて、
熱いものが込み上げてきた僕は、
思わず桜田さんを
抱きしめたい衝動に駆られました。
… これからも“桜田”をよろしく頼んだぞ。
立派な稲荷にしてやってくれよ。
そう仰ってくださいました。(*´Дヽ)
祐徳住吉稲荷さんとお話をしている間、
お社の陰で猫耳を立てたまま、
じーっとそこに控えていてくれた黒猫くん。
お話を終えて、
僕が深々とお辞儀し終えると、
お社の軒下からサッと飛び出して行きました。
“桜田さん”が立派な稲荷となられるために、
僕に何ができるだろうか。
その答えは、正直、今はまだわかりません。
ただこのご縁に感謝して、
共に精進していくことを誓うより他に。
神様のお使いを終えて一息つく黒猫くんにも、
手を合わせて深々とお辞儀をしました。
「どうもありがとう。」(人´∀`)
それは穏やかで平凡な朝の出来事でした。
Wong Wing Tsan / 或いは街で、あの頃
それにしても、あんなに猫が大嫌いだと
僕に話していた“桜田さん”の故郷を、
まさか猫の道案内によって知ることになろうとは、
夢にも思っていませんでした(笑)
日々共に過ごし、友情を育んで、
今ではすっかりタメ口で話している“桜田さん”。
草場さんの工房で出会った猫もそうでしたし、
(詳細はこちら『こころの時代 〜草場一壽工房』です。)
こんなに猫たちが畏まるところをみると、
きっと只者じゃないのだと思います。
神棚をお祀りする責任。
ご眷属の神様をお預かりする責任。
それはとても重いものです。
ですが、その責任を、
今はとても心地良く感じるのです。
だって、それこそが僕の作る愛の形だから。
とても愛おしい家族だから。
お参りの後、おばあちゃんから
路地売りのイチゴを1パック買いました。
公園の水道でジャブジャブ洗って食べた
イチゴの味は、まだ少しすっぱかったけれど、
とても爽やかな春の日差しの味がしました。
『Mystic Journey2・長崎編』は、
次回、いよいよ最終回へとつづきます!!