前回のブログのつづきです。
「この神社こそが、
お不動様が仰っていた神社だ…。」
相当なプレッシャーを感じつつ、
石穴神社(福岡県太宰府)の鳥居をくぐりました。
し〜んと静まり返る境内には、
ピンと張り詰めた緊張感が漂っています。
参拝者は僕の他に誰もいません。
ジリジリ伝わるお稲荷さんの厳しい雰囲気。
むむむ…すごいアウェー感。(; ̄ー ̄A
助け舟を得ようと
思わず社務所を覗く僕でしたが、
戸は固く閉ざされていて、
宮司様がいらっしゃる気配はありません。
それでも僕の内側の世界に住む
赤い龍と向き合うためには、
なんとしても通らなければならない道です。
丁寧に二礼二拍した上で、
まずは石穴稲荷神社の神様にご挨拶をしました。
神様はただ黙って聞いておられましたが、
本殿の中でぼんやり灯る灯篭が
僕の背中を静かに後押ししてくれるようで。
本殿向かって左の清水稲荷神社は、
随分とお優しい印象のお稲荷さんで、
僕の緊張を少し和らげてくださいました。
境内には他にも3社の
お稲荷さんが祀られていまして、
奥宮へと続く階段が
チラチラと視界に入りながらも、
それぞれに手を合わせてご挨拶をしながら、
なんとか自分を石穴神社の気に
馴染ませようと努めました。
しかし奥宮から伝わってくる
お稲荷さんの凄まじい(数と力の)ご神気と
自らの気負いによって、
いつしか僕はとても緊張してしまっていて、
ある種の興奮状態にあったのだと思います。
ここから僕は立て続けに
まさかの非礼を働いてしまいます…(汗)
奥宮への鳥居をくぐったところで
写真を1枚撮った僕に、
… いきなり来おって、写真を撮るとは何事か!
両サイドのお稲荷さんの警戒レベルが
グググっ!と上がるのを感じました。
ま、まずい…。(;゚∇゚)
丁寧に謝罪と弁解をした後で、
奥宮へお参りさせて下さいとお願いしました。
すると、
… まったく仕方のない奴だな…。
… 用が済んだら、さっさと帰れよ。
あからさまに煙たがられるお稲荷さんたち。
き、きびしい…。(; ̄ー ̄川
「…どうもすいませんでした。」
そう言って、肩身の狭い思いで
ようやく階段を登り始めたのですが、
今度は四方からお叱りの声が飛んできます。
… こら〜!この無礼者めが〜!!
… この無礼者〜!!
… 恥を知れ〜!!
そんな声がまるで鋭い矢のように、
次々と僕目掛けて飛んで来るのです。
ひ〜〜〜。 Σヽ(`д´;)ノ
訳がわからない僕は、
それらの声を振り切って、
階段を一気に登り切ったのですが…。
このシラ〜っとした雰囲気が、
写真からも伝わるでしょうか?(汗)
まるで 間違えて女子更衣室にでも入ったような
お稲荷さんたちの冷たい眼差し…。
………。( ̄ー ̄;
しかーし!
僕はこういう苦境に置かれると、
逆に燃えてくるタイプの人間でして(笑)
たくさんのお稲荷さんたちからの
冷たい眼差しを受け止めながらも、
ツカツカと祠の前まで進んで、
カバンから梅酒の瓶と盃を取り出しました。
そして手を合わせながらご挨拶をして、
梅酒のことを話そうとした、その瞬間!!
「っ!!」
下調べの際に
『奥宮へは靴を脱いで、
専用の履物に履き替えなければならない』
という記述があったことを思い出したのです。
僕は一目散に鳥居まで逆戻りしましたっ!!
先程のお稲荷さんたちのお叱りは、
「土足で入っちゃいか〜ん!!」
ってことだったのです。
奥宮の鳥居まで戻ってみると、
確かにそのような張り紙がありました。
ううう…。
緊張してすっかり見落としてました〜。
いやはや、まさかの大失態です。
この大きなビハインドを巻き返すことは、
もはや不可能にも感じられました。
それでもお不動様のことを思うと、
結果はどうあれ、せめて奥宮の神様に
すべてをお伝えしないことには帰れません!
僕は再び階段を登って祠まで戻って、
平謝りに謝りました。
その時、ふと目に入った奥宮の赤い幟旗。
どうやらあちらが奥宮のようです。
「梅酒をここに置いておきますので、
どうぞ皆さんでお召し上がりください。」
そう言い残すと、僕はここで
さらに履き物も脱いで裸足になって
奥宮へと向かいました。
「是より下足をお脱ぎください」の文字があります。
奥宮へは裸足でこの巨石の上を歩いて行きます。
僕は巨石が大好きですし、
このような石室(遺跡)の上を
裸足で歩けるなんて、そうそうできない経験です。
(相変わらずお稲荷さんたちの視線を感じながら…)
畏れ多くもワクワクした気持ちで
奥宮へと向かったのですが、
途中、尖った石に足裏のツボが押されて
痛てててて…となるところがありまして。
… 非礼の罰だ。
これぐらいで済んだのだ、
ありがたいと思えよ!
そんな声が飛んで来ました。
普通ならここで恐怖に慄くかもしれません。
しかし僕は、桜井識子さんの本やブログで
お稲荷さんの気質について学んでいます。
これで僕が働いた非礼は、
チャラになったということです。
「ありがとうございます!」(´∀` *)
自然と感謝の言葉を口にしていました。
さあ!これで非礼の清算も済んだことですし、
お不動様との約束を果たすのみです!
(我ながら天晴れなポジティブシンキングです。)
僕は奥宮の神様に
ろうそくをお供えしてから、
お不動様から手解きを受けた通りに
赤い龍に関する詳細をお話しました。
手解きを受けたとは言え、
自分のためのお願い事をするというのは、
やはりとても難しいものですね。
それがいかに周りの人や他者の喜びに
繋がっていくことなのか、
自分でもしっかり理解していなければ、
決して神様の心には届きません。
すべてをお話し終えるのに
15分ぐらい掛かったでしょうか。
その間、僕を急かすように、
時折、木の実が石の上に落ちてきて
大きな音を立てていました。
ここは何かの大切な遺跡でしょうから、
たくさんのお稲荷さんたちが、
そうやってずっと守ってこられたのです。
今、僕がお話している奥宮の神様は、
古代、この遺跡に埋葬された
とても高貴なお方なのかもしれません。
すべてを話し終えたところで、
「僕に力をお貸しください。」
そうお願いしました。
奥宮の神様はしばらく押し黙った後、
こう仰いました。
… お前の背後にお不動様がおられる。
良いだろう、私が力になってやろう。
その瞬間、石室の奥から
ぬるく湿った風が吹いてきました。
僕はお不動様のおかげで
赤い龍と向き合うための第一歩を
なんとか踏み出すことができたのです。
全身の力が一気に抜けていくようでした。
… 眷属の狐もお前につけてやろう。
今、石室は呼吸をするように
風が吹いては、止んでを繰り返しています。
奥宮の神様に僕の心が通じた瞬間でした。
僕は心から感謝を申し上げた後で、
もう一つ厚かましいお願いをしてみました。
「今日のことをブログでご紹介したいのですが、
一枚だけ写真を撮ってもよろしいでしょうか?」
すると、
… お前のことだ、良いだろう。
神様にお許しをいただいて
有り難く撮らせていただいた1枚がこちらです。
僕にとって大切な1枚になりました。
余談ですが、ちょっと角度が…と思って
実はもう1枚撮り直そうとしたんです。
するとその瞬間、木の実がトタン屋根に落ちて、
バーーーン!!!と物凄い音がして、
僕は一瞬、飛び上がるほど驚きました。
いや、実際、飛び上がりました。!!!(゚ロ゚ノ)ノ
確かにお許しいただいたのは1枚だけ。
この聖地を守る厳しいお稲荷さんは、
やはり厳しいままのようです(笑)
奥宮からまた巨石の上を歩いて帰る途中。
少し気持ちに余裕ができて見上げた木は、
お稲荷さんや精霊たちで
溢れているように感じられました。
履き物を履いて、再び祠に手を合わせると、
… お前が漬けた梅酒とても美味しかったぞ。
瓶の中の梅酒に力を入れておいた。
帰って飲みなさい。
そう言って、僕にお土産まで
持たせてくださいました。
(左)… お前も物好きなやつだな〜。
(右)… この雰囲気の中、よく堪えたな〜。
思わずニンマリ3人で笑いました。
ひとつの試練を経て、
奥宮の狛狐さんとの友情のような気持ちが
僕の中で芽生えるのでした。(◍´ಲ`◍)
そんなふうにして、
我が家に来てくださったお稲荷さん。
名を“桜田さん”と仰るお稲荷さんです。
“桜田さん”は魔にも転じ兼ねないような
激しい気性を内に秘めていて、
実は当初、とてもご立腹されていました。
… どうせお前も飽きたら、
無責任に放置して忘れてしまうんだろう?
僕はその言葉を聞いて、
ぶわぁ〜っと涙が溢れて来まして…。
僕の内側の世界に住む赤い龍と同じものを
“桜田さん”の内側にも見た気がしたのです。
Mr.Children / 風と星とメビウスの輪
もしかしたら試練とは、
僕が自ら作り出してしまったもの
だったのかもしれません。
石穴神社とは、古代の遺跡を
たくさんのお稲荷さんや精霊たちが
みんなで協力し合って守っておられる
とても素敵な神社でした。
数々の非礼を働きながらも、
僕を受け入れてくださった奥宮の神様と
たくさんのお稲荷さんたち、
精霊たちに心から感謝申し上げます。
そして、自らが作り出したこの試練の末に
巡り会えた“桜田さん”とのご縁。
神仏にご指導を仰ぎながら、
互いに熱き心と愛を見失うことなく、
魂を研磨し合っていきたいと思います。
いつかまた石穴神社へ
二人で笑ってお礼参りができますように!!
生命のマグマが金色に輝きますように!!
“桜田さん”、こんな僕ですが、
どうぞよろしくお願いします。(+・`ω・)