日本のお金持ち妻研究  森剛志・小林淑恵著 | 人魚姫の泡言葉

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『日本のお金持ち研究』いかにも、女性が好みそうな表題である。

【 著者紹介 】

森 剛志 (もり たけし)

1970年生まれ.早稲田大学政治経済学部卒業.京都大学大学院経済学研究課程修了(博士号取得).日本学術振興会特別研究員を経て、現在、甲南大学経済学部准教授.

小林淑恵(こばやし よしえ)

2004年、慶応義塾大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学.現在、和光大学経済経営学部非常勤講師、慶応義塾大学通信教育部非常勤講師.「結婚・就業に関する意識と家族形成――循環モデルによる検証」『人口学研究』Vol.39,2006(第11回 日本人口学会優秀論文賞受賞)


詳細なデーターを元に世間一般で思われてるお金持ち妻の実態が、いかに現実とかけ離れているかを知る事が出来る。

参考文献の年号が新しいのをいくつか挙げてみよう

阿部正浩(2006)「雇用と所得の環境悪化が出生行動に与える影響」
大石亜希子(2006)「所得格差の動向とその問題点」
財団法人厚生統計協会(2007)『平成17年度第13回出生動向基本調査(わが国夫婦の結婚過程と出生力)』
小林淑恵(2006)「学歴下方婚のすすめ――類婚選択と実現された生活」
統計省統計局(2008)「夫の収入と妻の就業率の関係について(ダグラス・有沢の法則)」『労働力調査』(詳細結果)の公表資料、平成20年1月21日
筒井美紀(2007)『東大卒女性の生活と意識に関する調査』
水落正明(2006)「父親の育児参加と家計の時間配分」
三輪哲(2007)「日本における学歴同類婚趨勢の再検討」
守泉理恵(2007)「先進諸国の出生率をめぐる国際的動向」
安井健悟(2008)「美男美女への賃金優遇は不合理か」

注:洋書は全て古いので除外する。他、諸々30数冊に及んでる。本、一冊書き上げるのにこれぐらいの文献を参考にするのは珍しくもなんともない。




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ザッと斜め読みでページを繰った。要した時間は1時間余り。シンデレラストーリー、玉の輿に乗る結婚がいかに少ないかが分かる。類は友を呼ぶというが、似た境遇同士の結婚が昔も今も変わらず存在してることをあらためて認識させてくれた。

なかでも特に私が興味をもって読んだ部分がある。それは容姿端麗の測り方の項目で
アメリカの心理学者デーヴィット・バスの研究を引用したところだ。

バスの研究では大学生を37の人種・文化グループに分類し、異性に求める恋愛や結婚の条件を調査したところ

日本人男性が相手の美しさを重視するのは36位、日本人女性の場合は35位と、どちらもかなり低い順位だった。しかし、この結果では、日本人がパートナーの容姿を重んじないのか、それとも外見で判断することを「恥」と感じる文化を持っているかはわからない、という。

心理学では、「美しい顔」そのものの研究が行われている。今日までの結果としては、平均的な顔ほど美しいとか、左右対称(シンメトリー)の顔が美しいとか、男女とも女性の特徴を強調すると魅力的な顔になる、などが明らかになっている。

また、容姿と他の社会的変数との関係を調べようという試みも諸外国では盛んに行われていて、例をあげるとテキサス大学ハマメッシュ等の研究ではロースクールの卒業生の容姿と所得を調べ、美男美女ほど所得が高く、美しさによる賃金プレミアム効果は時間経過で更に高まる事を明らかにしている。

アップ:ただし一連の研究では、容姿の良し悪しを調査員の主観で判断する。対象者が女性の場合、男性よりも平均点が高い傾向にあるというから、女性の方が甘く評価されやすいのか、それとも女性の方が男性よりも対照的に美しい生き物であるのかは分からない。左矢印著者は分からないと言ってるが個人的見解を言わせて貰うなら女性の方が美に対しての査定が厳しいと思う。

また、心理学研究で女性顔系統の男女ともが美しい顔だと、人から思われる傾向にあるという結果が出ている。


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長時間労働に支えられる日本経済
この項目の内容も興味深かった。日本人がいかに働き者であるかは周知の事実だが、こうしてグラフを見ると日本人は一日のうちの大半を労働に使い、北欧では午後の4時に仕事を終え、家族と共に余暇を楽しんでいる。

日本でもこのような北欧型社会は可能であろうか?

スウェーデンなどで出生率が1990年代後半から再び低下していく中、高い出生水準と高い生活満足度を誇るデンマークは、日本の九州ほどの小国だが、酪農品は世界的に有名で、工業製品では、補聴器、介護用器具などの輸出も盛んである。

義務教育は全て男女共学で、個人の発達に合わせて飛び級もあるし、逆に卒業を遅らす者も半数近くいる。大学まで授業料はかからず、18歳以上の学生には奨学金が支給されるので、何を職業としていきていくのかを真剣に考え、必要に応じて学校を選択することになってるとある。学歴による収入差も低く、偏差値による学校の上下や差別感もないという。

こうして読むと私が理想とする国のあり方である。団体生活、共同生活を学べる学校は男女共学が理想と常々思っており、親もその考えで子どもは全て男女共学校に進ませた。男女共学の偏差値の高い私学も検討したらしいが、学齢から考え余りにも遠いと判断し止めたらしい。

まことに良いところ尽くめ。EU諸国の中で生活全体の満足度はトップであるデンマーク。しかし、離婚、自殺、犯罪率は日本より高いし、平均寿命は日本より短いという。こうして見ると人間とは置かれた諸条件が良くても決してプラスに繋がるものではないとわかる。


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