このところ、家でずっとロッキーを観ていた。
公開から40年もたって、初めてのロッキー。失礼な話ではあるけれど、ブルドッグなみの頬のたるみのせいなのか、まどろっこしい話し方のせいなのか…長い間、生理的にスタローンを受け入れられず、これまでずっと避けてきたロッキーシリーズ。
今もまだなお多くのファンを持ち、名作と名高い1作目が、ちょうどワタシと1歳違い。ほぼワタシが生きてきた年月と同じだけの歴史をもつこのシリーズに、なにか運命的なものを感じやしないか…?
きっと、今こそが、ワタシがロッキーを観るべき時だったんだ…おもしろくって、もう止められない。夢中になって観てしまう。
ワタシもようやく、ハートで闘うファイター、ロッキーの虜になる。
【ロッキー】 (1976)

意外にも初めての「ロッキー」を鑑賞。ボクサー魂に火がついてからのロッキーがカッコイイ。
朝4時起きに生卵5個の朝食! やっぱり人は、何か目標に向かって一生懸命な姿が良い。
大切なのは、結果だけではないということ…試合には勝てなかったとしても、ワタシ達を熱くするのはそれまでの彼の道のり。
あんまり得意ではないスタローンだけど、40年前の彼はまだ頬のハリもあって若かった(笑)
【ロッキー2】 (1979)

「勝って」というエイドリアンのひと言がロッキーを再びスタートさせるスイッチ。愛する人が、夢を追いかけている姿は素敵だけれども、そのひと言を発するまでの彼女の葛藤もまた、ひとつのドラマであり大きな決断。
あのラストの試合は…とてつもなく壮絶な闘いだった…。
【ロッキー3】 (1982)

引退が頭を過ぎりながらも、再びやる気スイッチが入ってからのエンジンのかかり方には興奮する。最強とは言え、大切なものを失ってしまうのでは、という恐怖に負けてしまいそうになるロッキー。
ミッキーとの別れを経て、そこからまた這い上がっていこうとする姿には男気を見た! とことん付き合うアポロもまた、なんてイイ人なんだろう…。かつてのライバルが今や盟友となり、そこに強い強い絆が生まれる。
エイドリアンが、どんどん綺麗になっていくなあ。
【ロッキー4】 (1985)

冒頭からアポロのテンションの高さには違和感があった…なにか不穏なことが起こりそうで、もやもやしてた。まさか、アポロがこんな最期を迎えることになろうとは思ってもみなかった…。
亡きアポロへの想いを胸に、ロッキーは極寒の地、ロシアへ。ドラゴとの闘いは、なんて壮絶でなんて孤独なんだろう…。それでもロッキーは、アポロのために栄光を勝ち取りプライドを守った…彼は、本物の、ファイターなんだと思った。
【ロッキー5】 (1990)

どこからともなく現れた新人トミーに父の愛を奪われて、悲しそうにする息子のまなざし…チクッとココロがいたんでしまう。
歳をとったせいなのか、ロッキーが純粋すぎるせいなのか…彼はこれまでとはまた違った迷いや葛藤に翻弄されている。でも、彼の目を覚ますのは、いつもエイドリアンの愛、なんだな。
【ロッキー・ザ・ファイナル】 (2006)

あ~エイドリアンは、もういないんだ。。。いつの間にか息子との仲もぎくしゃくで、親しくなったマリー親子に何かを求めているのか、歳もとって哀愁を帯びたロッキーの姿がただただ切なくて…。 挑戦するのに、遅すぎることなんてない。ハートで闘うロッキーの姿に、素直にココロうたれた!
これまで、スタローンが苦手という以外は、なんて理由もなく避けてきたロッキーシリーズ。ワタシが観るべき「その時」を、きっとこれまで待っててくれたんだろな…。
【クリード チャンプを継ぐ男】 (2015)

そして、ついにここまで来た…これは、父と息子の物語だと、ワタシは思った。
亡きエイドリアンやポーリーに話しかけたりカメにエサをやったり、レストランを切り盛りしながら、ボクシングからは離れた平穏な毎日を送るロッキー。
そこに、息子の姿が見えないのがワタシはどうも気がかりで仕方ない…前作で父子の絆を取り戻したかのように思えたのに、やはり「ロッキーの息子」であるということは、地元で生活するには重荷だったのだ…。ココロに、ぽっかり穴があく。
さらに老いて、ひとまわり小さくなったように見える寂しげなロッキー。そんな彼の前に、ドニーが現れる…あの、アポロ・クリードの息子が。

ロッキーがドニーに見ているのは、トレーナー目線のボクサーとしてのドニーというよりも、息子との間に想い描いていた父子のあり方なのだとワタシは思った。
息子には、ボクサーになってほしいと願っていた訳ではない…ただ、そばで共に生きる家族、仲間として、信頼関係をきずいていきたかっただけなのに…。若き日のロッキーを思い出させるドニーのひたむきな姿。まさにチャンプの名を継ぐに相応しいボクサーへと成長するドニーに、ロッキーが一生懸命になればなるほど、ワタシは息子の不在を悲しく思わずにはいられない。
そしてドニーもまた、父親の名声の重圧に潰されそうになりながらも、自分の存在価値をボクシングに見出そうと奮闘している訳で…。
それぞれの想いをぶつけ合うかのようなラストの1戦。
シリーズを通してみても、これは最高レベルの試合だった…泣いた。

それにしても、最強無敗の王者であるコンランが…王者なのに、ぽっちゃりだったのはなんでかな。それに引きかえドニーの筋肉といったら…それはそれは、とても美しい。




ということで…
ロッキー、なのでした