どんなに映画好きの人でも、大抵ひとりや2人くらいは苦手な俳優さんっているもので…ワタシにとっては、何故だかトム・ハンクスがそう。
なので、足踏みしながらも、ようやく「ハドソン川の奇跡」を観た…トム・ハンクスが嫌とかどうとか、そんなこと言ってる場合じゃなかった。イーストウッドは、やっぱり、すばらしかった。
機長サリーは155人の生命を救ったのか
それとも155人の生命を危険にさらしたのか
実話なので、ストーリーの結末は分かってはいるけれど、それでも手には汗をにぎり涙は止まらない。サリーの責任感の強さやジェフがサリーに寄せる信頼、救助に駆けつけた人たちの気持ち…155人の尊い生命の奇跡に、ただただ拍手を贈りたいと思った。
一歩間違えば、乗客乗員だけでなくニューヨーク市民をも巻き込む大惨事となっていた事故…単なるドキュメンタリーとしてではなく魅せるドラマに仕立てたイーストウッド86歳には、凄い、という言葉しか出てこない。
エンジン停止からハドソン川への着水まで、たったの208秒間。低高度での両エンジン停止だなんて、そもそも前例はなく、なにもかもが想定外の事態。こんな状況のなかで、いくつもの大きな決断を下すことができるのは、長年の経験をつんだベテランのサリーだったからこそ。しかしこれは、サリーひとりだけの力で成しえたことではなく、その場に居合わせたすべての人たちの気持ちと、いくつもの偶然がひとつになったからこそ成し遂げられたもの。
緊迫の着水、くり返される事故調査委員会の厳しい追及、悪夢…サリーは決してヒーローになりたかった訳ではない。多くを語らないのにその心中はひしひしと伝わってくる。苦手とはいえ、こればかりはトム・ハンクスの表現力あってこそ。
サリーの妻のシーンだけは、どうも余計だったように感じるのだけれど…すばらしい映画だったことには変わりないので、ここはあまり触れないでおく(笑)
実家が遠方だと、どうしても飛行機を利用する機会は多い。現に今週末も、乗る予定があるのだけれど、慣れていても、毎回、何故あんな巨体が空を飛べるのか不思議でたまらずいつも緊張。
ワタシたちは、機長に生命を預ける。機長は、ワタシたちの生命を全力で守る…なによりも重い、生命。それは乗客のみではなくその家族や友人にまで及ぶ生命の重さ。
機長サリーと副操縦士ジェフのプロ意識の高さを知って、ワタシは思う…ワタシは彼らのような責任感を持って、自分の仕事に全身全霊を打ち込めているのだろうか。マニュアルどおりにはいかない物事は多々あるけれど、その時のとっさの判断は間違っていないだろうか。そして、ワタシには、ワタシのことを信頼してくれている人がいるのだろうか。。。
エンディングで、当時の乗客たちが登場しサリーを囲む。彼らの笑顔があるのは、機長の英断あってこそ。彼らが微笑むたびに、ワタシの感動の涙は止まらなくなる。
これはまさに、奇跡のものがたりだ…と感慨にひたっていると、実はサリーご本人はこの「奇跡」という言葉を使ってほしくなかったとのこと。
「奇跡」とは、現実ではありえないことが起こることで、神のみがなせる業。
しかしサリーのハドソン川への着水は、一か八かの賭けにでた結果なのではなく、あってはいけないもしもの為に、何10年ものあいだ訓練を積みかさね、あの時あの瞬間で、着水だけが多くの人を救えると判断した結果なのだから、と。
おまけ![]()
事故調査委員会の議長さん。名前も知らないけれど、彼は Glee のカートのお父さん。
そして、バーテンダーのお兄ちゃんにはマイケル・ラパポート…ワタシ、彼けっこう好き。
































