◆朝日新聞
東日本大震災の津波に耐え、復興のシンボルになった
岩手県陸前高田市の「奇跡の一本松」の命を継ぐ苗木が
19日、震災5年をへて、島根県出雲市の出雲大社に植樹された。
一本松は、国の名勝「高田松原」の7万本のうち、唯一生き残った。
NPO法人「高田松原を守る会」副理事長の小山(おやま)芳弘さん(64)が、
会のメンバーらと延命作業などで通ううちに、一本松の枝を拾った。
一本松は2012年5月に枯死が確認されたが、
小山さんが持ち帰って接ぎ木した苗木は約1メートルに成長。
漫画家の故・やなせたかしさんに依頼し、「ケナゲ」と名付けてもらった。
出雲大社に植樹するのは、全国から観光客が訪れる場所で、
「大震災を忘れさせない存在になってほしい」との願いからだ。
岩手県によると、陸前高田市では今も205人が行方不明で、
約3千人が仮設住宅で生活している。
植樹には、小山さんをはじめ、出雲大社の千家尊祐宮司や長岡秀人・出雲市長らが
参加。境内の「松の参道」近くに植えられた苗木の根元にそれぞれ土をかけた。
千家宮司は「将来、守る会と協力して、ケナゲの2世、3世の苗木を
全国に広げることができれば」、小山さんは「被災地の街並みや
被災者の心の復興を象徴するよう、立派に育ってほしい」と話した。
◆岩手地域新聞「東海新報」より
前の記事で1枚だけ載せたのですが、一本松だけではなくて、
土地全体がすごいチカラに溢れていました。
一本松だけが残った土地に、
また一から作ってゆくということ。
逞しさだけではなく、
それが可能な現在を生きている素晴らしさを知りました。
それを写真に残そうと、素直に撮れたかというと、
花や空、生きものたち…そんな美しさと一緒だからこそ、撮れた光景です。
まだ、言葉にしたいのに出来ないこともあるけれど、
出雲という、違う地で生きはじめた一本松のチカラを借りまして。
つながってゆけますように。
水面がキラキラ耀いているのとか、群がって泳いでいる魚とか、
すくすく育っている植物とか、自由に飛びまわる鳥たち…。
今言葉にしようとしても、美しいとしか言うことが出来ません。
雲もいろいろ七変化して、そのうち「かけ橋」みたいになって…。
見なくても分かる、
きっとここまでつながっている、と。