障害を持つ我が子を地元で学ばせてやりたい--。
そう願う親たちの熱意が実り今月1日、新潟県阿賀野市駒林に県立新潟養護学校駒林分校が開校した。
9日に入学式があり、小、中、高等部の児童、生徒計31人が学校生活をスタートさせた。
親たちが作った「ハピネス」の代表、清野富士子さん(50)も式に出席し、喜びをかみしめた。
清野さんには広汎性発達障害の次男俊樹さん(15)がいる。
県立村上養護学校高等部1年。地元に養護学校がなかったため、車で約1時間半かかる村上市の同校に在学している。
寮生活を送り、週末だけ自宅に戻る。
阿賀野市内には他にも、地元で学びたくても学べない障害児童、生徒がいた。
このため、清野さんら同じ思いの親が06年2月、「ハピネス」を結成。
同市に養護学校設置を要望したり、同市や新発田市など近隣4市町で、特別支援学級で学ぶ児童、生徒の親にアンケートを実施。卒業後の入学先について希望を聞き、生の声を集めて回った。
その努力と思いが行政を動かした。
俊樹さんは在籍している学校に慣れているため、転校はしない。
清野さんは自身の子育てを振り返る。
他の子と違うと気づいたのは俊樹さんが2歳の時。相手の言葉を理解できない。何度も言葉をかけるとパニック状態になる。感情表現できないため、気持ちを測りかねた。
「どう対応していいのか」。
悩んで出した結論が「表情が乏しくてもほめて育てよう」だった。
「親が教えられ、ここまで引っ張られてきた」。清野さんは同じ立場の親の気持ちをそう代弁する。
「活動はこれで終わりではない。よりよい学校生活を送れるためのサポートをしたり、高等部卒業後は地域に支えられての就労が望ましいと思うので、その橋渡しもしたい」
参考文献 『毎日新聞』 2009年4月11日付
私は社会福祉を学び始めて4年目になりますが、福祉も教育も「地域」がキーワードです。
「地域で支えあう」-そんな文化の土壌が形成されれば、障害の有無に関係なく、「みんなが生きやすいまち」になります。
「福祉文化の土壌の形成」は、私が社会福祉で最も重要だと考えていることです。
民生委員(児童委員)やボランティア団体、NPOなどの活動が活発になり、地域の人々も社会福祉に関心と理解を示す。こういうことが重要です。
福祉の範囲は昔と今とでは違います。昔は、福祉の対象となる人は貧困者で、その救済が福祉と言われていましたが、今はすべての人が対象です。
経済的に特に困っていなくても、障害をもった人がいなくても、介護の必要な高齢者がいなくても、社会福祉が支援する対象となる人はたくさんいます。
DVや虐待、人権擁護、住みやすいまちづくりも社会福祉士(ソーシャルワーカー)の仕事になりますし、生活全般の相談援助も社会福祉士がします。
この記事にもあるように、学校ができたというだけでは不足です。
そこには地域の理解と支え、教育と福祉の連携が必要です。
すべての人々がこういうことに目を向けると、国は豊かになります。
日本が豊かな国だというのは「幻想」です。むしろ、先進国の中では貧しいです。
経済的なことだけでなく、こころの豊かさに欠けてしまった結果、「モンスターペアレント」なんて言葉が生まれたのではないでしょうか?
こころの貧しい人が増えてきて、日本は生きづらい国になってしまったのではないかと、私は考えます。