都道府県の社会福祉協議会が失業者に低利で生活資金を貸す「離職者支援資金」の
貸付件数が、08年10月~09年1月の4カ月間で500件を超え、前年同期比1.9倍に
急増していることが毎日新聞の調査で分かった。失業者向けセーフティーネットとして
作られた制度だが、貸し付けの約6割が大阪府に集中する一方、
28県では08年度の利用が5件以下と活用に著しい地域差があることも判明した。
厚生労働省によると、支援資金は資産を保有したまま利用できるメリットがあるが、
全国の貸付件数は03年度の4738件をピークに減少、07年度は過去最低の870件だった。
貸付件数の月別推移や都道府県別の内訳は公表されていない。
都道府県社協に対する毎日新聞の調査によると、
08年度は08年4月~09年1月(1月分は3都府県が未集計)の合計が1112件に上り、
貸付件数が対前年度比で5年ぶりに上昇に転じた。
月別では4~9月まで100件前後で推移していたが、不況が深刻化した10月以降は
120件以上に増加。1月までの4カ月間は前年同期比243件増の509件に上った。
都道府県別の集計では、大阪府の貸し付けが07年度は全体の56%(486件)、
08年度は1月までで59%(660件)を占めた。
大阪府社協の担当者は、「失業者が高金利の消費者金融から借りれば多重債務に
陥るおそれがあるので、ハローワークにもポスターを掲示して利用をPRしている」と話す。
茨城、愛媛、宮崎など7県は07年度が0件で、うち、山梨、和歌山、徳島の3県は、
08年度も1月末時点で実績がない。
これらの県の社協担当者は、「保証人や必要書類を確保できないケースが多い」
「返済時の負担を考えると貸し付けが本人のためにならないこともある」などと説明している。
厚労省は「制度の認知度が貸し付け実績の地域差を生んでいるのではないか。
雇用情勢が悪化し、需要はあるはずなので、周知に力を入れてもらいたい」としている。
【離職者支援資金】
01年の政府の総合雇用対策の一環として創設された低所得世帯向け公的支援制度の一つ。
月額20万円(単身者は10万円)を限度に、再就職するまで最長1年にわたり年利3%で融資する。
返済期間は7年以内。失業時期と失業前の収入を証明する書類や連帯保証人が必要。
07年度までの貸し付け累計は1万5098件、約210億円。
原資の4分の3を国、4分の1を都道府県が負担する。
『毎日新聞』 2009年3月6日付
ハッキリ言って、この制度をPRしていない都道府県は、資金を負担したくないんでしょう。
こういうことが、福祉が進んでいる県と、遅れている県の目安になります。
財政面ばかり考えないで、今、何が先決問題かを
都道府県知事は考えなくてはならないのではないでしょうか?
こういう制度は、社会福祉などを学んでいないと知らないようなことです。
ちなみに、社会福祉協議会は「生活福祉資金貸付制度」も行っています。
社会福祉協議会は社会福祉法で全国の都道府県と市町村に
設置が義務付けられていますが、行政ではなく、民間組織です。