ニューヨーク・オールド・アパートメント | 3代目大村屋

3代目大村屋

映画・ダンス・旅行を中心に、日々感じた事を…

監督:マーク・ウィルキンス

出演:アドリアーノ・デュラン マルチェロ・デュラン

 

 オランダの作家アーノン・グランバーグの小説「De heilige Antonio」が原作。ニューヨークの片隅で懸命に生きる移民家族に訪れた悲劇と成長を優しいまなざしで描いたヒューマンドラマ。不法移民として暮らすペルー人のデュラン一家。母ラファエラはウェイトレスをしながら2人の息子を育て、息子たちも配達員として家計を支えている。街から疎外された自分を“透明人間”だと憂う息子たちは、語学学校で謎めいた美女クリスティンと出会い恋に落ちる。一方、ラファエラは白人男性からの誘いに乗って飲食店を開業するが…。

 

 あまり期待していなかったら結構良かった。不法滞在の母と2人の息子。母はレストランで働き、息子たちはデリバリーでお金を稼ぎながら語学学校に通う。とにかくあちこちで差別される。でも、どんなにひどい目に遭っても我慢するしかない。不法滞在だから。息子たちは学校で出会ったクロアチア出身のクリスティンに恋する。母はスイス人にそそのかされて、デリバリー専門のメキシコ料理を始める。いろいろあって、結局どちらもうまくいかず、息子たちはペルーに強制送還されてしまう。

 

 こうやって書くと悲惨な家族の話みたいだけど、息子2人は恋して青春を楽しんだし、母はその後、語学学校で勉強を始める。苦労したけど、家族で一生懸命生きたニューヨークの日々という感じ。息子たちもあきらめた様子はなく、いつか、正々堂々とアメリカに入国できる日がくるといいなぁと思った。

☆☆☆(T)