ラーゲリより愛を込めて | 3代目大村屋

3代目大村屋

映画・ダンス・旅行を中心に、日々感じた事を…

監督:瀬々敬久

出演:二宮和也 北川景子

 

 シベリアの強制収容所(ラーゲリ)に抑留された実在の日本人捕虜山本幡男を描いた伝記ドラマ。辺見じゅんのノンフィクション小説「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」を映画化。第2次世界大戦後の1945年。収容所に入れられた捕虜たちは、寒さと飢えに耐えながら重労働を強いられ、亡くなる者が続出していた。そんな中、山本は妻子の元に帰れると信じ、周囲の人々を励まし続ける。仲間を思う山本の行動と力強い信念は捕虜たちの心に希望の火を灯していく。

 

 久しぶりに泣いたわー。実在した山本さんは、本当にできた人だったんだね。ほとんどの人が無気力、あるいは暴力的になってしまうような過酷な状況でも、明るく、仲間を鼓舞するなんて、なかなかできることじゃない。そんな山本さんが癌になってしまう悲劇。戦争を生き抜いても、生きて日本には帰れず、家族にも会えなかった。もしも、すぐに帰国できていたら、早期発見できたかもしれないし、そもそも癌にはならなかったかもしれない。

 

 この作品の一番の見どころは、山本さんの仲間が彼の遺書を暗記して、家族に伝えるところね。無気力だった男、密告した元上官、感じが悪かった元軍曹…。ある意味、みんな山本さんに救われたと言える。彼らは戦後、きちんと前を向いて生きていけたんじゃないかな。ただ、5人がみんな同じように家族に遺書を朗読するのはワンパターンというか、感動が薄れちゃうような気もした。もうちょっと工夫してほしかった。

☆☆☆(T)