監督:久保田直

出演:田中裕子 尾野真千子 ダンカン

 

 日本全国で年間約8万人にも及ぶという「失踪者リスト」に着想を得たヒューマンドラマ。愛する人の帰りを待つ女性たちの運命を描き出す。港町に暮らす登美子は30年前に突然姿を消した夫の帰りを待ち続けている。漁師の春男に思いを寄せられても、それに応えることはない。そんな登美子の元に、2年前に失踪した夫を捜す奈美が訪れる。奈美は自分の中で折り合いをつけて前に進むため、夫がいなくなった理由を求めていた。登美子はある日、街中で偶然、奈美の夫を見かける。

 

 生死も分からない行方不明の方が、亡くなるより辛いのかもしれない。あきらめきれず、待ってしまうから。同じく夫が行方不明になった奈美は、心に区切りをつけたくて夫を捜す。見つかったところで、昔と同じような生活ができないことは分かってはいても。それでも、事件や事故に巻き込まれた可能性も捨てきれないからね。で、夫が見つかってみると、出ていった理由は特に無いらしい。いなくなる方はそれでいいけど、いなくなられた方はたまったもんじゃないよね。出ていく理由もなければ、確かに帰ってくる理由もないのかもね。夫婦だった片割れとしては寂しい限りだね。
☆☆☆(T)