ゴヤの名画と優しい泥棒 | 3代目大村屋

3代目大村屋

映画・ダンス・旅行を中心に、日々感じた事を…

監督:ロジャー・ミッシェル

出演:ジム・ブロードベント ヘレン・ミレン

 

 実際にあったゴヤの名画盗難事件の知られざる真相を描いたドラマ。1961年、世界屈指の美術館ロンドン・ナショナル・ギャラリーから名画「ウェリントン公爵」が盗まれた。犯人は国際的な窃盗集団かと思われたが、実は、年金暮らしの60歳のケンプトン・バントンだった。長年連れ添った妻と優しい息子と暮らす彼は、脅迫状で「絵を返してほしければ、年金受給者のBBCテレビの受信料金を無料にせよ」と要求。しかし、事件にはもうひとつのある真相が隠されていた。

 

 中盤まで、何ともまったりして、それほど面白いとは思わなかったけど、終盤の裁判のシーンが最高だった。本当にあった事件で、実際に無罪になった訳で、陪審員の人間味あふれる判決がすごくいいと思った。日本の裁判じゃあり得ないと思った。お年寄りのBBC放送受信料を無料にしてほしいと訴えたり、パン工場でパキスタン人の男性の権利を守ろうとしたり、自分の事より周りのことをいつも考えていた人だったのね。奥さんにしてみたら頼りなくて、もっとちゃんと仕事してよ、って思うかもしれないけど、それでも愛情でしっかり結ばれているのも良かった。さらに、事件の真相がすごい。真犯人をかばって逮捕されるなんて、普通じゃできないよ。
☆☆☆☆(T)