私のムンテラ(薬剤溶出性ステントとベアメタルステント) | cardioのブログ

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大学院生でもあり、専門医を持つ医者でもある、そんな人って何をしているのだろう・・・そんなブログ。

割と平和な当直明けはすがすがしいです。


きのうの続きで、カテ-テル治療に使う、ステントの話です。


ステントには、再狭窄を防ぐ薬が塗ってある薬剤溶出性ステント(DES)と、

塗ってないベアメタルステント(BMS)があります。


DESは2004年くらいから発売された新しいものです。

再狭窄の可能性が低いのはいいのですが、いくつかの欠点があります。


まず、血をサラサラにする薬(抗血小板薬)を2種類、1年間は中止できません。

(半年間でもいいという議論もありますが・・)

中止した場合、ステントが急に詰まって心筋梗塞を起こすリスクがあります。

1年間飲めばいいという話ではありますが、

たとえば出血が起きた時や薬の副作用がある場合は困ります。

これらは、おおむね初期に起きるので、最初にしばらく内服したうえで、

問題がなければよしとしています。


もう一つ困る場合は、途中でガンが見つかった場合や、

ガンを調べる検査を受けることになった場合です。

これらの検査は、組織を取る検査なので、血をサラサラにする薬は一時中断しなければいけません。

60歳以上になると、1年以内にそうした検査を受ける確率は約4%という報告もあります。

健診で最近チェックしていれば、基本的にはいいでしょうが、そうでない場合、

あなたに今ガンがあるかないか分からず、心臓の治療はしたけど、3か月後にガンの疑いがあった、、

こんな場合もありうるのです。


逆にBMSは、約1カ月もすれば、一時内服の中断は可能です。

あらかじめ、ガンなどが分かっている患者さんには、BMSを使います。

ただ、欠点は再狭窄がDESに比べて多いことです。


DESのもう一つ危惧されることとして、新しいステントなので、長期的なデータがありません。

あなたがステントを入れて、10年・20年経った時も含めたうえで、

BMSとDESのどちらが優れているかという具体的な結論はありません。


最終的な決断は、あなたの血管の状態や大きさも含めて考えます。

もしあなたのご希望があれば、それに沿います。


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うーん、こうやって書くと長ったらしい・・。

1年以降の遅発性血栓症のことまで、なかなか言及できません。


って、ここまで言って、自分自身でステントを選ぶ人はほとんどいません。

多くは「お任せします」と言われます。