2024年7月6日(土)新作バレエ「ダーナの泉」無事終演しました。
この日に至るまで多くの方々に関わって頂きました。最初は江藤先生ご夫妻と中村彩子さん、そして私で集まり、構想を練りました。先ずは日にちと会場の押さえを私が行い、そこから江藤先生がメインダンサーの出演交渉にあたり、彩子さんが静岡のバレエスタジオを廻って打診し・・・今思えばまだ何も描かれていない白い画用紙に少しずつ点を落とし、線を繋げて行く作業でした。
静岡で何人もの先生方が、この新作バレエの実現にご協力下さった事は有難い事でした。
スタジオをお稽古用に貸して下さったり、生徒さんをアンサンブルに出演させて下さったり・・・
一方、ザックリと書いた私の脚本の見直し。バサッとカットする、あるいは足す→それは曲の書き直しという事です。本当に時間がかかりました。昨年の年明け頃から今年の春、オケの練習が始まってからも、ずっとスコアの修正は続いていました。
バレエの方は昨年12月にオーディションで静岡在住のアンサンブルの出演者が決まり、春休みには集中レッスンもしました。振付けは主に2箇所で行われていました。メインダンサーは東京のスタジオで、そしてアンサンブルは静岡で。江藤先生は振付の構想を練り、静岡のアンサンブルの人達にはメインダンサーがこの辺で踊ったり演じている、という事を想定しながら振付ける。メインダンサーにはその逆を。メインダンサーの方々は皆、教師や、舞台出演等のお仕事をお持ちですから、「私は何時まで出来ますが、その後は居りません。」という様な事はしょっちゅうです。ですからその場でこの踊りを誰と誰の組み合わせでする、今日は兵士役が揃っているからその踊り、という様に工夫して・・・静岡のアンサンブルの人達は彩子さんがミストレスとして毎週振付に行ってくれました。6月に静岡で双方合同で、全幕の通しをした時は、胸が熱くなりました。
この年明けに音楽はおよそ30曲以上になる事が見えて来て、最終的には35曲になりました。これも江藤先生によれば偶然の出会いとも言えるのですが、あるバレエ公演の指揮を江藤先生がした時、演奏していたのが主に芸大生を中心とするオーケストラだったそうです。そこで先生がメンバーに私の新作バレエ「ダーナの泉」の話をして下さり、今回オーケストラジュネスとして演奏してくれる事に繋がったのです。人と人の繋がりで輪はどんどん大きくなって行きました。
唯、35曲と膨大なスコアからパート譜(各楽器毎の譜面)を作成するのは、容易な事ではありません。私は作曲はフィナーレというアプリを昔から使っているので、パート譜は何度か作成していますが、曲数が多く、一人で背負いきれないかも?と不安になっていた所、オケマネージャーの後藤君が作曲科の学生さんに声を掛けてくれてパート譜作成を手伝って頂けました。
本番直前まで、絶えず曲の変更、修正はつづきましたから、本当に助かり、有難かったです!
いよいよオケのメンバーが集まり、音楽が聴こえた時は本当に嬉しかったです。正直、丁寧な楽譜を作るのにはもっともっと見直す時間が必要だったと思います。私もそれが一番やりたい作業でした。けれど観客動員の為のチラシ等の郵送作業、チケット管理、宿泊場所の確保、レンタル楽器手配等の事務的な作業も両輪で進めなければならない重要な仕事でした。結果、随分演奏者に私の意図を汲み取って演奏して頂いていた部分があったのではないかと申し訳無く思っています。
本番前日、打楽器、ピアノ、ハープが運ばれて来た時は、本当にこれだけの楽器がオーケストラピットに収まるのか?と不安になりました。グランシップの中ホールのピットはあまり広くないと聞いていたからです。でも学生さん達が自分達でやりくりして上手く収めてくれました。
そしてゲネプロが始まり、生の音が出て・・・昨今、録音によるバレエ公演が多いので、聞いた所によれば何人かのバレエダンサーの方々は血が騒いだようです。音楽の迫力が違いますものね。
そして本番の日。実は開演30分前、私はてんてこ舞いでした。JRの掛川での停電事故で新幹線が止まり、東京、関西両方面からのお客が何十人も到着出来ていなかったのです。「開演を遅らせるかどうか、舞台監督と主催者が決めて下さい。」そう言われ、私にとって大切なお客様が多く到着していなかったので何とか開演を暫く待って欲しいと願いました。が、圧倒的多数のお客様はもう700名以上着席しており(全760席)、終演後の解体作業やレンタル楽器の返却時間もあるので「10分遅れで開演」という舞台監督さんの鶴の一声で決定しました。「30年想い続けた舞台実現の、今日、この日、この時間に、何故こんな事が起きるの⁈」と、悔しさと本番のドキドキで1幕の前半、心臓がバクバクしていたのを思い出します。「ひっくり返らないで、自分!」と願いながら(笑)
結果的には受付やドア係を引き受けて下さった梶田先生のスタッフの皆様の適切な誘導で、1幕の途中、2幕から観られた方が多くホッとしました。
でも諦めて帰宅された方の事だけが、今回の公演の唯一の心残りです・・・
そして本番が始まりました。バレエダンサーも演奏者も、凄い集中力を見せていましたね!
気合が入っていたというか。それは私だけでなく、十分観客に伝わっていました。終演後の打ち上げ会場でもそうでしたし、私に毎日の様に届く数々のメールやラインにも、喜びや感動を伝えて下さる方がとても多いです。「1回では勿体無い。」と再演を希望する方が何人もいらっしゃいました!有難い限りです。
中には30年前、私が活動を始めたばかりの頃から応援し続けてくれている友人もいるのです。まだ日本に入ったばかりのコンピューターのコピーペースト機能に、これは便利だと印刷、裁断して手作りのチケットを作り、一緒に販売を手伝ってくれる所から始まりました・・・
今回の公演は私にとっての集大成の公演なので、彼女は、本当は出掛けるのも無理な状況だったにも拘わらず、合間を縫って駆けつけてくれました。
「どうだった?」と聞く前にメールが届きました。彼女にしてみればどの曲も結構聴いている曲が多い訳です。それに合わせたせっかくのバレエを観ようとしても涙が溢れて全てがにじんでいたそうで・・・かけがえの無い友人を持つ事が出来て幸せです。今、書いている自分こそ、文が滲んで見えます。私は学生時代の友人や先生、結婚してからの子供繋がりのお母様方やご夫婦、趣味の山や音楽仲間、主人繋がりの友人知人、ご近所の方々、親戚と、本当に多くの人達に支えられていると感謝の気持ちでいっぱいです。
最後に、様々なお声の中からもう一つ、お葉書を下さった私の友人の文章の一部をお届けします。
この方は音楽に日頃、触れていらっしゃる方です。
「一つ一つの音楽がバレエと合体した時 生き生きと響きあい、若い演奏家の人たちの作り出す音が何と素敵だったことか」
その素晴らしい生演奏がバレエダンサーを輝かせた事は間違いありません!!
江藤先生、彩子さん、衣装の津守先生はじめ、バレエダンサー、オーケストラジュネス、スタッフとして支えて下さった全ての皆様、作曲科の皆様、全てのお客様、本当にどうも有難うございました。又、お会い出来る事を願って。
そしてどうぞコメント欄に、お名前は伏せてでも構いませんので、ご遠慮なく自由に書き込んで下さい。特に、この「新作バレエ」というものをどう感じられたか、出演者、観客、どの立場でも結構ですので書き込んで下さると嬉しいです!まだ残務整理があり、全てにお返事出来るかわかりませんがどうぞ宜しくお願い致します。
2024年7月14日 岡本由利子
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