少し 前のこと
窓の外は 強い雨と風
ベランダから 見えるのは
渦巻くような灰色の霧で
他は何一つ 見えない
そんな 真夜中のこと
外を 眺めていると
だんだん 目の前の闇が
ただの " 夜の闇 " ではなく
まるで この世界の
全てをのみ込もうとする
" 巨大な闇 " のように感じ
全身が 震えた
好きな 音楽をかけても
お笑い芸人の YouTubeを見ても
もう ただの
" 映像 " にしか感じず
心の中の 恐怖は増すばかり
こんな経験は
人生で 初めてだった
隙を作れないから
誰かに 助けを求められない
少しでも 気を抜くと
漆黒の闇に
一瞬にして のまれてしまう
そう思って
グッと 目を背けるように
自分の内側に 意識を向けたら
そこには
小さく揺れる
灯りがあった
初めて 見た
初めて 知った
本当の 自分の灯りだった
ザワザワと 闇に
取り巻かれながらも
もう この小さな灯りしか
目に入らなかった
何かに 触れた時
胸が温かくなるのは
きっと そこにある灯りを
感じることが
出来たからなのだろう
そして それを守れるのは
一番側にいる 自分なのだ
頑張らなくて良い
気付くだけで良い
そっと 見守るだけで良い
あなたの 灯りを
灯し続けることが
守り抜く事が
大切な 誰かを
何かを
守ることにも 繋がるのだ