バッテリー系統の整理
「シンプルで壊れにくく、壊れてもすぐに直せる」をコンセプトにバッテリー回りの電装系統をやり直している。
バッテリーはエンジン+ハウスで3基、バウスラスター用に2基の計5基を積んでいるのだが、調べてみるとバウスラスターへの給電が危うく、また、バッテリーチャージャーそもそもの動きが不安定で、この1年間、洋上で電圧の低下にやきもきしていた。
写真左側の混雑した配線。これがイヤでイヤでしかたがなかった。
白い紙にデザインをする時も余白が大事だと主張するタイプなので、これはいただけない。
まずはこの配線の整理から。
陸電からの給電を止め、船内の12Vのブレーカーも落としショートさせない限り感電しないよう安全対策。まず、専用のバッテリーケースを配置し、この配置に合わせた配線に整理した。
ついでにせっかくの大容量のインバーターは、バッテリー拡張の予定もあり一旦撤去とした。
動きが安定せず、そもそも容量が足りなかった既存のバッテリーチャージャーは撤去し、容量の大きなモデルに更新。この手の電気系統の製品は新しいに越したことはない。
今回は4kgと小型ながら最大80Aを流し、フロート充電してくれるもの。
小型ゆえ、邪魔にならないので、チャートテーブル下の壁面にマウントした。
マリーナでの係留時は陸電をつなぎっぱなしなので、バッテリーを常に良い状態に保ってくれるフロート充電はうれしい機能だ。
現在はハウス+エンジンで2基のバッテリーにしているが、もう少し配線をキレイにしたあと、最終的には3基にし、この作業を行う際に3基とも新品に交換しようと思う。
電装パネルの整理と目隠しパネルの設置
バッテリー系統の配線を整理したので、陸電(100V)パネルと電装(12V)パネルの配線を整理し、棚の上部に目隠しパネルを造作した。
従来は100Vのスイッチパネルが薄いアルミ素材の箱に入っていたのだが、船なので結露の可能性もあるので、今回は箱をぶっ壊して新設した木製パネルに埋め込んだ。
ついでにこのスペースにステレオもマウントしたが、まだまだスペースに余裕があるので、電装品や各種モニターの増設にも対応できるようにした。
壁は簡単にニス塗りで仕上げているが、時間をつくって12Vパネルと同様の黒壁にした方がカッコよさそうだね。
サロンテーブルのニス塗装
ヨットのサロンテーブルはたいがい折り畳み式のものが多い。Nydellも左舷側、右舷側の天板が折りたためるようになっている。
人が集まるとこんな感じね。
写真の左がバウ(船首)なので、左舷側に座っている白髪のおっさん(幼馴染のS君)の前の天板にニスが剥げた箇所があるのが分かる。
たぶん熱々の何かをそのまま乗っけたりとか、そんなことが原因で、天板のニスが剥げたり焦げたりしていた。今回はその天板をリペアする。
左舷側の天板は簡単に外すことができる。
外せるものは持ち帰って作業をした方が丁寧な仕事ができるので、愛車に積み自宅へ。
愛車はそのまま作業台になるので便利だ。写真を撮り忘れたが、オービタルサンダー#120で表面のニス、焦げを削り、砥の粉をまぜたニスを3回重ね塗りした。
今回使用したニスは水性の室内用で、作業性が良かった。水性なので、1回目は水を多めに混ぜ軽く塗る。2回目は少し薄めたものをしっかりと。乾燥後、#400でサンディングし、表面の凹凸を滑らかにした後、3回目を原液のまま塗って完成だ。
そして外せないテーブルのセンター部分の天板は現地で同様の作業を行う。
ヨット(船)の内装は本当によく考えられているといつも思う。センターテーブルの天板を外すと、そこはボトルストッカーになっている。ここにはワインやウイスキーなどを1ダース(12本)収納することができる。
ソファーのクッションを外し、養生をして作業をするが、室内のためサンディングした粉を掃除機で吸いながらの作業なので効率が悪い。
こんな感じで色を合わせながら地道に作業を繰り返す。なかなかいい感じに仕上がってきた。
右舷側はトイレやバウバース(船首にある寝室)への通路を兼ねているので、普段はこのように畳んだ状態だ。
右舷側の天板を広げるとこんな感じとなり、最大7人で食事をすることができる。いやいや4人だよね。
ちなみに右舷側の天板は、前オーナーもあまり使っていなかったのであろう、目立った焦げ跡や傷はなかったので、今回は手をつけなかった。色目は多少違うがそれはそれでいい。
まぁ、キレイになったよね。
レストアの方向性
ヨットのレストアはひとそれぞれ方針がまったく違う。
Nydellはなるべくオリジナルの素材を活かし再生しつつ、現代のテイストに合わせていく方針。
よく木目のダイノックシートを貼る人がいる。新艇のほとんどがそうだからだ。
外装のデッキ材も最近人口木材が増えてきた。ダイノックシートや人工木デッキはメンテが少ない(不要)なので重宝されているようだが、僕はあまり好きではない。
自社の事業で再生木材の開発を行い、それなりに市場に出したが、再生木材を製造するためにかなりの電力が必要で、CO2換算すると天然木材を使い、長く持たせた方がエコであるという自分なりの結論に至ったのだ。
それに天然木材の中でもとりわけ今となっては貴重なチークに囲まれている空間に身を置けるのは何とも落ち着くものだ。
この写真はほぼ最終形のNydellの内装。
チークの突板をべニアに張り付けてあったオリジナルの床はかなり腐朽が進んでいたのでバウ側は耐水べニアでやり直し、全面にタイルカーペットを貼った。
壁も同じような材料で腐朽が激しかったので、パテで成形し、水性の塗り壁塗料を発見し、これを手塗りして雰囲気を出した。
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様々な作業を行い、ようやく70%程度の完成度に近づいてきた。
そうこうしているうちに、ここは沖縄。終わったはずの外装ニスやコーキングが紫外線にやられはじめている。この船に乗り続ける限り、レストアやメンテから逃れることはできないのだ。
前述したが、近いうちバッテリーを増設、交換する。
この作業が終わったら、レストア作業の一区切りとしてセーリングに出よう。
ロングセーリングに出て、洋上での生活をすると、この船ならではの特性がわかったり、適切な道具や食器の収納場所なども見えてくるのだ。
また今回、インバーターを外し、ハウスバッテリーの代わりにエコフローデルタプロというポータブル電源を採用したので、この使い勝手も検証しなきゃならない。
まずは沖縄一周からかな。