あの人は英語はしゃべれるが、しゃべる中身は無い | Olive Twigs

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昔読んだ本の中で、ある英語を話せる日本人のことを評したアメリカ人の言葉で、「あの人は英語はしゃべれるが、しゃべる中身は無い」というような意味の箇所がありました。

別に私はその人のことは個人的に知っているわけではないですし、実際英語でどう話したのかも知りませんし、私があれこれ言える立場には全くいませんが、あまりにも多くの一般的な日本人の英語の実情について的を得た意見だなと思い、思わず苦笑いしてしまいました。

英語を授業の中できちんと一生懸命勉強して、試験でもいい成績を取り、加えて発音もそこそこ綺麗で、なんとなく英語が使える、という人は少なくないと思います。というのも、日本人は本当に一生懸命きちんと勉強する、きちんとそれなりに形にしようという姿勢を持っていることにかけては、群を抜いていると思えるからで、それが英語の学習においても実はかなり現れていると思います。

多分日本人で自分は英語が苦手だった、成績もあまり良くなかった、と思って苦手意識がある人はたくさんいると思います。でも、もっと広く世界的な視点から見ると、実は実際かなり多くの英単語を知っていたり、文章をなんとなく作れたり、読めたり、書けたり、世界の他の地域の人々と比べたら、実は意外とわかっていること、知っていることが多いと思っていいと思うのです。そう言われてもきっと信じられないかもしれないのですが。カナダは英語とフランス語が公用語の国ですが、その中で長年英語で生活し、多くの英語が第1言語ではなく、どこかで学ばないといけなかった人々と交流してみて、そのことは結構はっきりと確信できましたよ。

しかしながら、英語を勉強することも、それが学校の教科の一つとして与えられるだけのようです。他の教科と同じように教えられている内容を理解し、覚えて、試験があれば覚えたものを的確にはき出して、しっかり理解した、身につけているということを証明することによって、優秀な子として認められることの一つと思っているのがほとんどだと思います。そもそも英語を使って知らない世界を旅してまわるとか、友達や恋人と深く語るとか、ましてや仕事をして生活の糧を得ていくとかいう感覚は、そこに入る余地もありません。

英語は日本語と全く同じように1つの言語であり、人とコミュニケーションをとって繋がったり、生活を豊かにしたり推し進めていくためのツールなだけです。でも英語自体の中に、自分が立派に素晴らしく流暢に話せるとか、発音をネイティブのように磨き上げたりなどというような目的を入れ込んでしまったら(もちろんそういう風に素晴らしく話せるのも悪いことではありませんが)、英語以上に人間として本来重きをおくべきである、自分のやりたいこと、成し遂げたいこと、夢や将来のビジョンなどを膨らませたり、具体的に磨いていったりということに注ぐエネルギーが削がれてしまいそうです。というか、それがまさにあらゆるところで起こってしまっていて、前述のような、「あの人は英語はしゃべれるが、しゃべる中身は無い」と評されてしまうようなことに陥っているのです。

 

英語はツールであって、周りと関係を築いていったり、世界を広げていったり、周りに自分の人生をもって貢献していくというビジョンを育てるのと並行して学んだり教わったりするものでなければ、どんなに正しい文法を使いこなして完璧な文章を作れても、どんなに素晴らしい発音で話せても、虚塔のようなものを作り上げているのとなんら変わりないのでは、と思えるのです。

巷で色々な英語を効果的に学ぶ教材や素材、コミュニティーがあったり、教室があったり、Social Mediaでも多くのコンテンツが出ています。でもそういうものは大抵やはり、英語をそれぞれが英語でコミュニケーションがとられる環境の中で「使うもの」として教えています。使うものであるという想定が最初からあるということは、自分の生きたい人生や、夢やビジョンや、生きる人生があることを前提にして、それと抱き合わせになっています。

別にここでこのような素材を特に勧めているわけではないのですが、英語を学ぶというスタートラインに同じように立ったとしても、そのような想定が学ぶ者の気持ちの中に含まれているかどうかでその後に学ぶもののこなされ方が明らかに違ってくると想像できます。

自分が英語を学ぶよりも前に、英語を使って何をしたいのか、どう自分の周りの世界、日本以外の世界の国々や地域にでも働きかけたいのか、別に世界をひっくり返すような壮大なレベルの夢でなく、とてもシンプルなものであっても、そういうものを考えて温めていくような示唆やインスピレーションが与えられる場が、積極的に増えてもいいのじゃないかなとも思ったりします。