22日夕方のニュース。「佳子さま国際基督教大学(ICU)を御卒業」
という記事に目が留まりました。
と、いうのも翌日(23日)その国際基督教大学(ICU)に行く予定があったからです。
下調べをしていたらちょっと心配になりました。
なんと敷地が62万平方メートル。東京ドーム13個分の広さがあるというのです!!
(明治神宮は15個分)
はたして目的地に着けるのでしょうか?
東京都三鷹市大沢3-10-2 国際基督教大学(ICU)
3月23日(土) 午後
国際基督教大学正門を入ってすぐ左手に洒落た建物が目につきました
一面すべてガラス張りです。 これなら相当明るいでしょうね!
でも地震が来たら? 余計な心配をしてしまいました m(_ _)m
* * *
何とか30分前に到着できました。
基督教大学のオルガン設置
裏話や貴重な最初の演奏会(1970年)の録音
などを聴かせて下さいました。
コンサートに使うオーストリア製オルガンの他に
練習用オルガンも必要という事で設置されたのが
421号教室のポジティーフオルガン(小型オルガン)です
( 個人的にはこの小型オルガンの方が好きです )
国際基督教大学(ICU)本館421号教室
1985年11月 草苅オルガン工房製作
オルガン講座元受講生による演奏
このオルガンに相応しい当日の演奏曲目 心に染み入る素敵な音色でした!!
演奏会の後 ・ ・
何と会場内にこのオルガンの製作者 草苅さんがいらっしゃいました
中:草苅オルガン工房 ( 山梨県北杜市小淵沢町 ) の草苅徹夫さん
右:須藤オルガン工房 ( 神奈川県横須賀市 ) の須藤宏さん
左:関係者
直に色々なお話が聞けてとても有意義な時間でした。
カギ
演奏台右下の鍵を開けて内部も見せて下さいました 通常の演奏会でこんな事はありえません!!
トラッカーアクションといわれるものが現れました
トラッカーアクションとは ・ ・
鍵盤は左側が低い音で右にゆくほど音が高くなるように並んでいる事は誰でも知っています。
では少し前のオルガン正面の写真を見てみます。
パイプ(笛)は長いほど音が低く、短くなるほど音が高くなります。
一番右が一番長く、次が一番左、次は右から二番目、次は左から二番目 ・ ・
と、いうように不規則に並んでいます。
その鍵盤とパイプを薄い木片で繋いでいるのが
トラッカーアクションといわれるアナログな仕掛けです。
演奏台の上の部分も開けて見せて下さいました。
演奏台の左右にあるノブ(音栓)を引くと
上にある 板状のものが左右に動いて
音色を選ぶ仕組みの一部が見えています。
ノブを引いてみるとその伝わり方がよく分かりました。
演奏台脇のノブ(音栓)
右側下から2番目のノブ ( Koppel Ⅱ/Ⅰ ) は
カプラーといって鍵盤を連動させるもの
ノブを引くと上の八角柱状のものが回転して中央の棒状のものが手前に動く
黒く見えている部分が手前に動いて割れ目の間に入り込む
一段目の鍵盤を弾くと丁度真上の二段目の鍵盤が連動するようになる
ちなみに一番下のノブ ( Koppel Ⅱ/p ) は
ペダルで弾いた鍵盤と二段目の鍵盤が連動する
鍵盤をよく見てみると随分と手をかけて作られている事が分かります
楢の素木に蜜蝋を塗っただけのナチュラルな風合いが目にも優しい!!
足鍵盤(ペダル)脇のデザイン詳細
錫と鉛の合金で作られているパイプ 小学校で習う縦笛と全く同じ原理です
大きいサイズのパイプの歌口の両脇には板状のものが取り付けられています
この方が音が良く鳴るそうです ( 須藤さん談 )
天然木に蜜蝋 ( ミツロウ ) を塗っただけのナチュラルな風合いに癒される感じがします!!
透かし彫り唐草模様 ( 木彫刻 ) など
かつて日本のオルガン製作の第一人者といわれた辻宏さん(故人)という方が
いらっしゃいました。(生涯で80数台製作されました)
18台目 ( 1976年 ) 以降は歴史的建造法 ( 古い時代のもののコピー ) に
こだわって製作されました。
その記念すべき18台目は東京都目黒区の東急東横線祐天寺駅近くの
聖パウロ教会にあります。 ( 毎月第一金曜日12:20~ランチタイムコンサート無料 )
後にお弟子さんによって人力 ( 足踏み式 ) 送風機が取り付けられ
何年か前の3.11日には電気を使わない演奏会をやっていた事を覚えています。
辻さんのお弟子さんも何名かいますが、その歴史的建造法を最もよく受け継いでいるのが
草苅徹夫さんだと思われます。
オルガンという楽器は鍵盤を弾く ( 押す ) ことによって音が出 ( ON )
放せば止まる ( OF ) というもので
単なる ON OF であれば電気的な装置で電線を使えば
トラッカーアクションのような大がかりな仕掛けはいらないのですが
押し始まる時 放し始まる時の微妙なニュアンス (タッチ ) があって
単なる ON OF ではないのです。
歴史的建造法で作られたオルガンの演奏を聴いていて
息をしていると感じる事があるのもその為だと思います。