毎日の搾乳 | ドゥーラのりこ

ドゥーラのりこ

オーストラリア在住のお産サポーター(ドゥーラ)、ヒプノバーシング™講師、マッサージセラピストです。
妊娠、お産、育児、健康、環境、ホームスクーリングに関しての色々な情報や考えをシェアしています。

超未熟児の我が子を産んでから、搾乳生活が始まりました。

休む事なく、毎日3時間ごとに搾乳。

実際に赤ちゃんがいる場合は、もっと頻繁に授乳することになるので、毎3時間の搾乳なんてラクなほうですかね。(でも、赤ちゃんがいないので、一人での搾乳はとても孤独です...)


安定した母乳生産の為には、出産直後の2週間がとても重要です!


この2週の間でどのくらい母乳を生産出来たか(どのくらい搾乳出来たか)で今後の母乳生産が大きく左右されるのです。(赤ちゃんに吸ってもらう場合も最初の2週間がとても重要。)

私は、妊娠16週目辺り頃から初乳(黄色い液体)は出ていたので、ありがたいことに初乳は産後直に出ました。

超未熟児の赤ちゃんにとって、始めての初乳は0.5~1ml程だけで十分。

チューブを通して、直接胃へ送ります。赤ちゃんは味わう事は出来ません。

超未熟児の赤ちゃんは、上手に「飲み込む」事が出来ず、間違って呼吸器官に行ってしまう事もあるので、口から与えるのではなく、口や鼻からチューブを胃まで通して固定させ、直接胃袋へ送るのです。(チューブはずっとついたままです。)
味わわずに胃に入るのはなんだか寂しいですね...

が、唇にほんの少しだけの初乳を塗る、という事は可能です。

もちろん病院はあまり推奨しませんが、私は行っています。
唇にリップを塗るように、綿棒に初乳を染み込ませ、ほんの少しだけ初乳を唇に塗ります。少しでも味わってもらう、という事が重要なんです。
保湿効果もあります。
初乳(普通の母乳もそうですが)は羊水の味や香りと似ているので赤ちゃんは落ちつくんですよ。

私の搾乳生活のスタートは下記の通りです。
早産になってしまう可能性のある方(本当にわからないものですが)は是非参考にして下さい。

産後、最初の2~3日間は指だけで搾乳。
これが刺激になり、後に沢山の母乳が生産されます。この2~3日間は、搾乳機を使わず、頑張ってしっかりと指で搾乳することが重要です。
指での搾乳方法が分からない方はプロからしっかりと学んで下さい。
慣れてくると、指だけでも上手に沢山の母乳が絞れるようになります。

3日後からは黄色だった初乳がだんだんと白くなっていきました。
3日後からは、電動搾乳機で両方のおっぱいを同時に10~15分程搾乳し、その後指で3~5分程搾乳。両方を同時に搾乳することで、更に母乳生産量が増えます。
これを3時間ごとに行う。(夜中も)

搾乳する前に、胸がパンパンになっている場合は、マッサージや蒸しタオルを胸に当てる。
シャワーの後に搾乳するのも良いです。

最初は、母乳生産が搾乳に付いていけない程大量になり、おっぱいが硬くなったり、しこりが出来たりすることがありますが、5~6日頃からはだいぶ落ちつき、10日後頃には、時計を見る必要もないくらい、正確に3時間ごとに胸が「搾乳してくれ~」と訴えてくれるようになりました。

夜で搾乳される母乳は未熟児の赤ちゃんにとってはとても大切なので、私は出来るだけ夜の母乳を与えるようにしています。メラトニンたっぷりの母乳で赤ちゃんもぐっすり眠れます。そして、睡眠中に赤ちゃんの脳は発達していくのです。超未熟児の赤ちゃんは寝れば寝る程、スクスクと成長してくれます。

また、未熟児を産んだお母さんの母乳は、満期で産んだお母さんの母乳よりも栄養分とカロリーが高く、自分が産んだ未熟児の赤ちゃんにぴったりな母乳にカスタマイズされています。
赤ちゃんにとって何が必要か、お母さんの体がちゃんと知っているのですね~。

小さな赤ちゃんにとって大切なのは、体重を出来るだけ早く増やす事。
粉ミルクやドナーの母乳等ではなく、自分のお母さんの母乳をしっかり飲む事が本当に重要です。

病院では、未熟児に対し、Fortifierと呼ばれる濃厚粉ミルクが母乳に混ぜられます。(同意なしに勝手に混ぜられることもあり。)

母乳の栄養分とカロリーだけでは、早く体重が増えないから、という理由からだそうですが、彼らが言っている「母乳」とは、一般の母乳の平均的な数値。未熟児を産んだお母さんの母乳の数値ではありません。

このFortifier、牛乳の粉だけでなく、精製された糖分(ハイフルクトースコーンシロップ等)が多く含まれています。

精製された糖分をたっぷり飲めば、そりゃ、直に太るよなぁ~。
糖分たっぷりの炭酸ジュースを毎日与えている様なものですからね。

産まれたばかりのデリケートな消化器官にハイフルクトースコーンシロップや、消化しにくい牛乳たんぱく質の粉なんて、あまりにも過酷過ぎるように感じます。

どんな方法でも良いから、早く太らせればいい、ってもんじゃないと思います。
糖分で太らせる場合、内臓脂肪もつきやすいですしね。

Fortifierは、消化器官内の炎症の原因になる可能性も高く、これが悪化すると、かなり危険です。
後の幼児時代に肥満や糖尿病になる傾向も多いようです。
免疫力ももちろん下がります。

Fortifierを拒否する親はあまりいないらしく、私はかなり珍しがれましたが、実際、我が子は体重が順調に増えていますし、産まれたときよりもふっくらしてきているので、粉ミルクで必要以上に太らせる必要はないように感じています。

未熟児の赤ちゃんの体重を太らせる為には、カロリーの高い、脂肪分の高い母乳を与えれば良いのです。

少し専門的になってしまいますが、最初に出てくる母乳は水分が多く、カロリーは低いものです。(Fore milk、「前乳」と呼ばれています。)
私は、この最初に出てくる母乳と途中の母乳は冷凍保管し、集中治療室にいる我が子にはほとんど与えません。

最後の方に出てくる母乳(Hind milk、「後乳」)は脂肪分がたっぷりでカロリーが前乳の2倍ほどあります。栄養分も前乳よりも豊富です。

後乳は、いわゆる、濃厚な母乳、ということですね。

この後乳をを与えていれば、体重も順調に増えていきます。(安全に増やす事が可能。)

赤ちゃんが成長すると共に、与える母乳の量も増えていくので、その際には、後乳だけでは足りなくなる場合もあるので、その際には、前乳、後乳関係なく、与えるようになるかもしれませんが、まだまだ量が足りている期間は、後乳のみを与えるという方法もありなんです。

体重がしっかりと増えているのであれば、病院側もFortifierを混ぜる必要がある、とはあまり言えませんしね。


毎日、3時間ごとに搾乳し、栄養たっぷりの後乳を毎朝病院へ持っていき、病院でも毎3時間ごとに搾乳を行い(前乳と後乳は分けています)、余る母乳や直に必要としない母乳は、唇やお肌に少し塗ってあげたり、冷凍していく、という作業をコツコツと行っています。

今後、かなり余るようであれば、寄付もしたいと思っています。(シドニーではRPA病院が母乳寄付プログラムを実行しています。)

孤独な搾乳作業、毎日大変ですが、頑張っています!
赤ちゃんが直接おっぱいから母乳を吸う、という日が早く来ることを願いながら...