以前の記事で
ジャズ・ピアニストの
マル・ウォルドロンが
ショパンのピアノ曲を
弾いていると知って
興味を持って調べていたら
ショパンが歌曲を
書いていることを知り
新宿のディスクユニオンに行った際
2枚見つけたと書きました。
このとき入手した2枚は
いずれも現代のピアノによる
演奏だったわけですけど
自分は古楽沼にハマっているため
フォルテピアノによる録音が
ないものかしらと思って
タワーレコード・オンラインで
探してみたところ
見つけたのが今回の盤です。
(東京エムプラス NIFCCD 027、2019.9.14)
直輸入盤の日本流通仕様盤なので
キャップ(オビ、タスキ)が
ついてますけど
歌詞の対訳や
解説の訳は付いてません。
リリース年月日は
タワーレコード・オンラインに
拠りました。
原盤は
ポーランドの NICF で
NICF というのは
Narodowy Instytut Fryderyka Chopina
(国立フレデリック・ショパン研究所)の
アクロニム(頭字語)です。
演奏は
オルガ・パシェチュニク(S)
ケヴィン・ケナー(fp)
および
マリウシュ・ゴドレフスキ(Br)
ラドスワフ・クレク(fp)です。
録音は
パシェチュニクのチームが
2009年12月15〜16日で
ゴドレフスキのチームが
2017年9月17〜21日
だと思われます。
ライナー冊子だと
パシェチュニクのチームは
アステリスク(*)ひとつ
ゴドレフスキのチームが
アステリスクふたつで
区別されてるんですけど
*の位置が以下のようになってて
15 i 16 grudnia 2009, [*] 17 i 21 [**] września 2017
上に書いたように
見当をつけるしか
ないのでした。
ショパンの歌曲集は
自分が入手した盤だと
基本的に女声(ソプラノ
ないしメゾソプラノ)で
歌われていることが
多いんですけど
今回の NICF 盤の場合
歌詞の内容を踏まえ
男性視点と女性視点を区別して
演奏されています。
変わっているのは
Gdzie lubi(好きな場所)で
同じ歌詞を
男女で歌い分けるだけでなく
男声がトラック2
女声がトラック12
というふうに
離れて収録されています。
それに合わせてか
邦題も
「どこで会いましょう」
「どこかで会いましょう」
というふうに
相聞風に訳されています。
従来は
少女の好むものや
それを好む心情を
男性視点から歌ったもの
という内容だと
解されてきたんですけどね。
上に書いたような事情で
全19曲なのに
本盤のトラックは20あって
総録音時間は56分55秒。
曲順は
出版譜通りではなく
かといって
作曲順とも思われず
かなり自由に
並べられています。
なんらかの意図が
あるのかどうか
ライナーに
書いてあるのかも
しれませんけど
チェックしておりません。
また
前回の記事でご紹介の
ラケル・カマリーナ盤のように
ショパン以外の楽曲が
おまけでついてくる
ということはありません。
使用楽器は
ケヴィン・ケナーが
1848年製のプレイエル・ピアノで
ラドスワフ・クレクが
1838年製のエラール・ピアノを
弾いています。
現代のピアノと比べて
音が柔らかく
ソリストの声を
邪魔していません
……といいたいところですが
まあ、柔らかいのは
確かに柔らかい
という感じがしますけど
それは古楽ファンの
認知バイアスかもしれず(笑)
本盤を聴くまで
ソプラノの歌唱ばかり
聴いていたわけですが
再生機にもよるとはいえ
バリトンのゴドレフスキの声は
柔らかくて実にいい感じです。
ソプラノのパシェチュニクは
悪くはないんですけど
ゴドレフスキが良くて
やや損をしている感じがします。
本盤を買ってから
知ったことですが
パシェチュニクは本盤以外に
自分の知る限り
2枚のCDで
ショパンの歌曲を
歌っています。
そちらについては
また機会がありましたら
ご紹介します。
前回の記事で
ラケル・カマリーナ盤の方が
ヨアンナ・コズウィフスカ盤より
好みだと書きましたけど
本盤と比べて
どちらがいいか
といわれた場合
ちょっと迷いますね。
ゴドレフスキの良さを買って
わずかに今回の盤の方が
好みに合うかもしれません。
Wojak(つわもの)とか
Hulanka(酒場の唄)なんか
男声で歌われると
しっくりきますしね。
〈酒場の唄〉などは
ゴドレフスキが歌うと
男前すぎるというか
上品すぎる気も
しないではないんですけど(笑)
ちなみに
本盤のキャップ裏では
〈酒場の唄〉ではなく
〈浮かれた女〉
と訳されています。
歌詞の内容は
酒場で酔っ払っている女に
上着に酒をこぼされている
男性の視点からのものです。
国内流通盤のキャップでは
歌詞の冒頭の言葉を訳して
〈浮かれた女〉
としたんでしょうけど
ここでは内容を踏まえた邦題の
〈酒場の唄〉を
採用した次第です。
ショパンの歌曲の邦題は
資料によって
あるいはCDによっても
異なるものがあり
悩ましい限りなのでした。

