先おととい

四谷のオフィスでの採点の帰りに

タワーレコード新宿店に寄って

谷山浩子の新譜

《フェニックスで弾き語り》

購入したという記事をアップしました。


最近はオンラインショップ以外で

クラシックの新譜CDを買うことが

ほとんどなくなりましたけど

CDショップに寄った以上

ついでにクラシック売場を

見ていきたくなるのは

まあ自分にとって

お約束のパターンです。

 

そこで見かけたのが

今回ご案内するこちらの盤です。

 

ジョイス・ディドナートが歌う《ディドとエネアス》

(Erato: 2173.228488、2025.8.22)

 

リリース年月日は

裏面全面を覆うタイプのキャップ

(いわゆるオビ)の

どこにも記載がなく

タワーレコード・オンラインに

拠りました。

 

そのキャップ(オビ)に

「オープン価格」とありましたので

店舗で貼った価格シールが

貼られたままの写真を

アップしています。

 

輸入・販売元は

ワーナー・ミュージック・ジャパンで

直輸入盤ですが

日本語解説と歌詞対訳が付いてます。

 

 

メイン・キャストが

ディド:ジョイス・ディドナート(MS)

エネアス:マイケル・スパイアーズ(BT)

ベリンダ:ファトマ・サイード(S)で

器楽と合唱は

マキシム・エメリャニチェフ指揮

イル・ポモ・ドーロと

イル・ポモ・ドーロ合唱団

(合唱指揮:ジュゼッペ・マレット)が

担当しています。

 

ちなみにBTは

そう略すのかどうか

分かりませんけど

バステノールの略です。

 

録音は2024年2月16〜18日

ドイツのエッセン・フィルハーモニー

というコンサート施設の

アルフリート・クルップ・ホールで

行なわれました。

 

 

2024年録音ということで

自分の知る限り

ヘンリー・パーセルの歌劇

《ディドとエネアス》の

最も新しい録音になります。

 

こういうのは

音楽情報誌などを

ふだん買わない人間にとって

店頭に行かないと気づけないので

たまたま出会えて幸いでした。

 

 

谷山浩子の新譜が

いまだに聴いてないのに

《ディドとエネアス》は

聴き終えているあたり

自分の関心の在りどころを

図らずも暴露しているような。

 

前回の記事でも書きましたが

特典を一式揃えるだけで満足し

ミッションを終えた気に

なっちゃうんですよね。( ̄▽ ̄)

 

 

ジョイス・ディドナートは

英語版 Wikipedia によれば

1969年、アメリカ生まれの

コロラトゥーラ・メゾソプラノ歌手

だそうです。

 

キャリアをスタートさせたのは

1998/1999年のシーズンで

ヘンデルの《メサイア》や

バッハのロ短調ミサなども

歌っているようですけど

モーツァルトやロッシーニといった

メイン・ストリームのオペラによって

キャリアを形成してきたようですね。

 

ヘンデルやヴィヴァルディの

オペラの録音もあるようなので

バロック音楽は不案内

というわけでもなさそうですが

本盤を1回、聴いた限りでは

個人的には、いただけませんでした。

 

なんだか

呂律が回ってないように

聴こえたんですよね。

 

録音は

誕生日の数日後なので

当時55歳ということになりますが

ディドは老女王なのか

と思ってしまったくらいです。

 

その他のキャストは

合唱やアンサンブルも含め

エッジの効いた

シャープな演奏だったので

なおさらでして。

 

聴き直すと

また印象が変わるかもしれませんが

第一印象はあまり良くない

というのが正気な感想です。

 

 

今回の盤は

寄宿制の女子音楽学校で

演奏されたのが初演

という想定ではなく

その前に王宮で御前演奏された

という想定による演奏と思われ

スペクタクル性が

非常に強調されている感じです。

 

第1幕の最後

ディドがエネアスの愛を受け容れ

愛と美の勝利を祝う音楽では

パーカッションが加わって

ダンスがその場で

踊られているかのようでした。

 

第2幕の

嵐と雷鳴が轟く場面では

サンダー・シートが大活躍。

 

第3幕の

水夫のアリアの前には

水夫の歓声が

台詞として入ってから

歌われてました。

 

とにかく全体的に

舞台で観たいと思わせる

視覚的な欲望に誘われる演出で

合唱も器楽演奏も

実にキレがいい。

 

 

イル・ポモ・ドーロは

アントニオ・チェスティのオペラ

《黄金の林檎》(1668年初演)に

ちなんで名付けられた

スイス籍イタリア拠点の

古楽器による室内管弦楽団です。

 

主席指揮者の

マキシム・エメリャニチェフは

チェンバロやコルネットの奏者でもあり

本盤でもチェンバロを担当してますから

弾き振りということになりますね。

 

イル・ポモ・ドーロは以前

バッハのチェンバロ協奏曲集を

リリースしていて

ちょっと話題になったこともあり

自分も1枚目を聴いてるはずですが

すっかり忘れてました。(^^ゞ

 

ただし

その時の指揮者は

エメリャニチェフではなく

フランチェスコ・コルティでしたけど。

 

それはともかく

イタリア拠点ということで

スペクタクル寄りな演奏も

頷ける次第です。

 

 

これを聴いた後で

比較してみようと思って

《ディドとエネアス》の

トレヴァー・ピノック盤

まだ聴いてない盤を何枚か

聴いてみたんですけど

ディドがオペラティックに

過剰かなと思わせる演奏はあっても

呂律が回ってない

という印象を受ける演奏はなく。

(そりゃそーですよねw)

 

個人的な印象ですけど

本盤を1度聴いた限りでは

ディドナート以外はすべて良く

ディドナート・ファンに

申し訳ないんですが

ディドがディドナートでなければ

と思ったことでした。

 

 

それはそれとして

最新の演奏盤を聴いたことで

《ディドとエネアス》熱

パーセル熱が

再び燃え上がり中です。

 

そういう意味では

買って聴いて良かったかも

とか思ったり。( ̄▽ ̄)