ジャン=クリストフ・グランジェの

小説『ミゼレーレ』(2008)で

 

J=C・グランジェ『ミゼレーレ』創元推理文庫

(平岡敦訳、創元推理文庫、2024.9.27)

 

元刑事のカスダンが聴きにいく

少年聖歌隊のコンサートでは

プラグラムの冒頭で

《トゥルネーのミサ》から

〈グローリア〉が歌われました。

 

それにちなんで

当ブログでは先に

アンサンブル・オルガヌムの歌う

《トゥルネーのミサ曲》を

紹介したのでした。

 

 

アンサンブル・オルガヌム盤を

Amazon で購入した後で

どこだったか、忘れましたけど

ディスクユニオンで見つけたのが

今回ご案内のCDです。

 

プロ・カンティオーネ・アンティクヮ《トゥルネーのミサ》

(BMGビクター BVCD-5045、1992.4.21)

 

演奏は

マーク・ブラウン指揮

プロ・カンティオーネ・アンティクヮで

録音は1979年6月24〜26日に

キルヒハイム城の(城内の?)

教区教会で行われました。

 

 

プロ・カンティオーネ・アンティクヮは

カウンターテノール2、テノール2、バス2

という編成なので

アンサンブル・オルガヌムの

ドスの効いた(?)

男声の響きに比べると

柔らかさが感じられます。

 

そのぶん

少年聖歌隊の演奏に

近いかと思いますけど

グランジェの小説に出てくる

少年聖歌隊の編成が

正確には分からないので

まあ「近い」というだけに

とどめておきましょう。

 

少年聖歌隊なら

ソプラノ声部が

あったでしょうから

ちょっと印象が違うだろう

と思うんですけどね。

 

 

ライナー小冊子の解説が

濱田滋郎なのは

《バルセロナのミサ》という

カタルニア中央図書館所蔵の曲を

収録しているからでしょうか。

 

《バルセロナのミサ》も

《トゥルネーのミサ》と

成り立ちは同じです。

 

5つのミサ通常文、すなわち

キリエ - グローリア - クレド -

サンクトゥス/ベネディクトゥス -

アニュス・ディのそれぞれを

異なる音楽家が

個別に作曲したもので

それがひとりの編纂者によって

まとめられたものです。

 

《トゥルネーのミサ》の場合

最後に、ミサの終了を告げる

〈イテ・ミサ・エスト〉が付きますが

《バルセロナのミサ》には付かない

という違いくらいでしょうか。

 

音楽的にも

アヴィニョンに興った

新しい技法が使用されている

という意味では

似ているようです。

 

 

こちらの盤を先に見つけていたら

アンサンブル・オルガヌム盤を

探そうとも思わなかったでしょうし

買うこともなかったと思います。

 

同じ3声部でも

テノール、バリトン、バスで歌われる

アンサンブル・オルガヌム盤と

カウンターテノール、テノール、バスで歌われ

少し音域を上げている

プロ・カンティオーネ・アンティクヮ盤とでは

かなり印象が異なりますので

両方聴くのがベストだと思いますけど。

 

ちなみに個人的に好みなのは

アンサンブル・オルガヌム盤かな。